研究課題/領域番号 |
20H03100
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹内 潤一郎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (20362428)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間隙ネットワーク / パーコレーション / 格子ボルツマン法 / 非混合性流体 |
研究実績の概要 |
昨年に引き続き,格子ボルツマン法によるフィンガリング現象に関するシミュレーション,間隙ネットワークモデルによる団粒構造を有する多孔質媒体の浸透確率や水分保持特性の評価,3Dプリンタによる多孔質媒体モデルの作成と浸透実験を行った。格子ボルツマン法を用いたシミュレーションでは,水と空気のような密度比の大きな流体の浸透現象を扱うことのできるphase-field法を用いて空気で満たされた多孔質媒体に水がフィンガー状に浸透していく現象について詳細な解析を行った。それにより,フィンガー流の途中で水が排水(空気が浸入)して流れが途切れる現象やフィンガーの先端からの圧力低下や不規則に変動する現象を再現できた。間隙ネットワークモデルを用いた解析では,構成する粒子の粒径分布を変化させたり粒子数を変化させた様々な団粒構造をもつ多孔質媒体を個別要素法を用いて作成し,間隙の空間統計解析やネットワークの特性,水理特性を調べた。本年はモデルに含まれる粒子数と空間解像度を昨年度より増やして,より詳細な解析を行った。団粒構造を持つ多孔質媒体は団粒構造を持たない多孔質媒体に比べて浸透閾値が小さいことに加え,通常対角線に漸近する浸透確率が一旦対角線から離れ再び近づくという特徴があることが分かった。 本年はこれらに加え,解析力学的な観点からForchheimer流れについて変分法を用いた定式化を行った。それは,流速が十分小さいDarcy流の場合,摩擦損失に加え形状損失を考慮したモデルとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
格子ボルツマン法では,密度比の大きい非混合性流体の置換現象を扱うことのできるphase-field法を採用し,フィンガー流や毛管上昇など基本的な浸透現象を再現できるようになった。今後もワークステーションやスパコンを活用して様々な現象のシミュレーションを行っていく。 多孔質媒体モデルを作成する個別要素法のプログラムを改良し,様々な大きさや粒径分布の団粒構造を持つ多孔質媒体モデルを生成できるようになった。系統的に様々な多孔質媒体モデルを作成し,空間統計量やネットワーク特性,水理特性の解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
格子ボルツマン法と間隙ネットワークモデルにおいては,疎水性の粒子を含んだ(様々な接触角を持つ粒子による)多孔質媒体に関してシミュレーションを行っていく。 3Dプリンタによる間隙モデルを用いた浸透実験では,間隙の大きさや浸透流速を変化させて,間隙への侵入時の慣性力と界面張力の関係について実験を行う。 Forchheimer流れに関する変分法をもちいた定式化について,既存のモデルとの比較をシミュレーションと解析的な観点から行っていく。
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