研究課題/領域番号 |
20H03568
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高森 建二 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (40053144)
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研究分担者 |
冨永 光俊 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (50468592)
鎌田 弥生 順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (00410035)
古宮 栄利子 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (90647009)
本田 耕太郎 順天堂大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (70803625)
外山 扇雅 順天堂大学, 大学院医学研究科, 博士研究員 (50805893)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 難治性かゆみ / mu-オピオイド受容体 / エンドモルフィン / 末梢神経 / ケラチノサイト / アロネーシス |
研究実績の概要 |
実臨床において、既存治療が効果を示さない難治性かゆみの治療薬として有効性を発揮しているkappa-オピオイド作動薬であるが、めまいや不眠などの中枢性副作用が問題となっている。これに対し我々は、「かゆみ感覚は、皮膚に発現するオピオイドやその受容体群(オピオイドシステム)によっても制御されている」との仮説を立て、オピオイドシステムを標的とした、現行より副作用の少ない難治性かゆみ外用治療薬の開発を目指し、末梢性mu-オピオイドシステムによるかゆみの発現メカニズムの解明を行っている。 本年度は、各種MORリガンドによるかゆみの特性を明らかにする目的で、beta-エンドルフィン(beta-END)、エンドモルフィン(EM)-1及びEM-2を正常マウスに等モルずつ皮内投与し、機械刺激直後の掻破(機械的アロネーシス)及び非存在下での掻破 (自発的かゆみ)の発生頻度について検討した。その結果、機械的アロネーシスの発生頻度はEM-1及びEM-2の方が多く、自発的かゆみの発生頻度はbeta-ENDの方が多かった。このことから、機械的アロネーシスと自発的かゆみを仲介する経路が異なることが示唆された。さらに、QX-314とカプサイシンまたはQX-314とフラジェリンを同時投与し、C-線維特異的もしくはAbeta―線維を特異的にブロックするサイレンシング実験を行った。その結果、EM-1及びEM-2の皮内投与によって発生する機械的アロネーシスの頻度は、QX-314/フラジェリン投与群でのみ有意に抑制され、EM-1及びEM-2による自発的かゆみはQX-314/フラジェリン投与群では全く阻害されなかった。以上より、EM-MORによる機械的アロネーシスの誘発にAbeta-線維が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、3種類のMORリガンドによる自発的かゆみ及び機械的アロネーシスの発生メカニズムの違いを見出し、QX-314によるサイレンス実験に着手し、EMによる機械的アロネーシスの発生に関与する感覚神経を同定できたことから、「おおむね順調に研究が進展した」と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
beta-ENDとEMとでは、DORに対する親和性が大きく異なることから、今後はマウス皮膚の免疫染色により、C―線維およびAbeta―線維におけるMORとDORの発現レベルを明らかにする。さらには、DOR特異的アゴニストやアンタゴニストを用いて、beta-ENDとEMのかゆみ誘発機構の違いにDORが関与しているか否かについて行動実験により明確にしていく。加えて、痛覚に対するbeta-END及びEMに関しても行動実験により評価する。
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