研究課題/領域番号 |
20H03966
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
抱井 尚子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (20348460)
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研究分担者 |
亀井 智子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (80238443)
野崎 真奈美 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (70276658)
福田 美和子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80318873)
眞壁 幸子 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (40436184)
大河原 知嘉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (80632091)
河村 洋子 産業医科大学, 産業保健学部, 教授 (00568719)
井上 真智子 浜松医科大学, 医学部, 特任教授 (80609090)
八田 太一 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 講師 (40598596)
稲葉 光行 立命館大学, 政策科学部, 教授 (80309096)
高木 亜希子 青山学院大学, 教育人間科学部, 教授 (50343629)
田島 千裕 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (60365062)
成田 慶一 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (60511912)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 看護研究教育 / 混合研究法 / 混合型研究 / eラーニング / デルファイ調査 / インタビュー調査 / ウェブアンケート調査 / 国際調査 |
研究実績の概要 |
本研究プロジェクトは、わが国の看護研究における混合型研究の教育モデルの構築およびこれに基づく研究実践ガイドブックとeラーニングツールの開発・公開を目的とする。 2021年度の前半においては、2020年度において日本の看護研究者より収集した「混合研究法の実施におけるハードル」を特定するための質問紙調査(n=322)およびフォーカスグループインタビュー調査(n=31)のデータ分析の結果を統合する作業を行った。そして、この結果を、10月末に開催された国際混合研究法学会アジア地域会議/日本混合研究法学会年次大会において発表した。また、質問紙調査から得られた、日本の看護研究者における混合研究法の認知度・普及状況についても報告書(抱井他, 2021)にまとめ公開した。 秋以降は、デルファイ調査の第1ラウンドとして混合研究法の実践経験が豊富な海外の看護研究者5名に対しZoomビデオを使用して、「混合研究法のハードル」を乗り越える上で有益な教育の在り方に関する個別インタビューを実施した。インタビュー参加者は、できるだけバックグラウンドが多様になるように合目的的に選んだ。結果として、世界の様々な地域から国際色豊かな研究者より協力を得ることができた。インタビューデータの分析結果をもとに、デルファイ調査の第2ラウンド以降に使用する質問紙調査票の項目を作成した。そして、インタビュー参加者5名それぞれにより推薦された研究者数名と、混合型研究を看護系トップジャーナルに出版している看護研究者(データベース(Scopus)を用いて特定)を合わせた合計69名に対し、2月末に調査協力依頼をメールで送信した。ウェブアンケート調査によるデルファイ第2ラウンドのデータ収集は昨年度末に完了する予定であったが、回答数が伸びず、回答期限を2022年度4月25日まで延長した。最終的に13名より回答を得た(回答率20%)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の主たる目的は、デルファイ調査を用いて日本の看護研究者が混合研究法を実施する上で経験する「ハードル」の乗り越え方に関する海外のエキスパートの見解を収集・分析することであった。2020年度に実施した日本の看護研究者を対象とした調査結果にもとづき、デルファイ調査第1ラウンド(インタビュー調査)用のインタビューガイドを作成し、これを用いて海外の混合研究法エキスパート5名に対し個別インタビューを実施した。インタビューでは、調査参加者が考える混合研究法教育のあり方や、彼/彼女が実践している教育方法、研究者間で賛否両論がある混合研究法の理論や実践のあり方に関する彼/彼女らの見解について質問した。 インタビューデータの分析結果にもとづき、デルファイ調査第2ラウンド以降用のアンケート調査紙を作成した。アンケート調査紙は3部から構成され、第1部では混合研究法学習者がハードルを乗り越えるための教育のあり方(43項目)、第2部では混合研究法を学ぶ上で役立つリソース(4項目)、そして第3部では調査参加者のバックグラウンドに関する質問(12項目)を尋ねた。回答者には謝礼として40米ドル相当のアマゾンギフトカードをメール送信した。ウェブアンケート調査によるデルファイ調査第2ラウンドのデータ収集は昨年度末に完了する予定であったが、回答者数が伸びなかったため、期限を2022年度4月25日まで延長した。現在のところ第2ラウンドのデータ収集は完了(回答率20%)し、これから分析を進めるところである。 今後は第2ラウンドの分析結果にもとづき、第3ラウンドのデータ収集およびその分析を今年度中に完了する予定である。第3ラウンドが終了した段階で、さらなるデータ収集が必要であると判断した場合は第4ラウンドのデータ収集を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度に引き続き、本研究プロジェクトのフェーズ2の研究活動を進める。つまり、2020年度に得られた日本の看護研究者からの「混合研究法のハードル」に関する声を看護研究者で混合研究法を実践するエキスパートに繋げ、ハードルを乗り越えるために必要な教育のあり方に関するエキスパートの見解を収集・分析する。そして、これを2023年度以降の教育モデルの構築およびeラーニングの開発につなげる。 本研究の計画段階においては、エキスパートの見解を収集するデルファイ調査(3~4回)をウェブアンケートのみで実施する予定であったが、ウェブアンケートでは十分な記述データが得られないであろうという懸念から、当初の予定を変更し、もっとも重要となる第1ラウンドにおいては、個別インタビューによりデータ収集を行う「修正版・デルファイ調査」を実施することとした。インタビューには、国際混合研究法学会現理事長、台湾出身で現在アメリカの大学の博士課程で新たに混合研究法プログラムを設立した研究者、オーストラリアで広く利用されている混合研究法のテキストの著者、看護系トップジャーナルに数多くの論文を出版している、パキスタンとカナダの両国で活躍する研究者、デンマークで混合研究法を用いた研究を精力的に実践している研究者が、世界の様々な地域から合目的的に選出された。5名に対するインタビューからは、洞察に富む濃密なデータを収集することができたため、計画を変更したことは良かったと評価している。インタビューにもとづいて作成したウェブアンケートを用いて実施したデルファイ調査第2ラウンドからも量的な情報とともにある程度の質的情報は自由記述によって得ることができたが、今後、分析結果次第では、有益な記述データを提供してくれた特定のウェブアンケート調査参加者に対し、個別インタビューを実施することも検討したいと考えている。
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