研究課題/領域番号 |
20H03990
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
溝部 昌子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 教授 (00625684)
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研究分担者 |
重松 邦広 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (20215966)
吉原 悦子 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (60309995)
宮田 哲郎 国際医療福祉大学, 臨床医学研究センター, 教授 (70190791)
岩倉 真由美 福岡国際医療福祉大学, 看護学部, 助教 (70743748)
金子 由里 西南女学院大学, 保健福祉学部, 助手 (50836137)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | POCUS / 深部静脈血栓症 / 肺塞栓症 / 間歇的空気圧迫法 / 弾性ストッキング / 現場即時検査 / エコー検査 |
研究実績の概要 |
2020年度作成した「深部静脈血栓症予防の看護」の資料冊子に基づき、協力病院であるA病院、B病院で看護師を対象とした勉強会を複数開催、また自身が主宰を務める日本血管看護研究会で看護師、臨床検査技師、理学療法士を対象とした遠隔勉強会を実施した。実施時期は、2021年8月、10月、12月で、内容は、深部静脈血栓症に今敢えて取り組む意義、発症部位、発症静脈と病態の特徴、観察方法、リスク、血栓症後症候群など深部静脈血栓症の理解に関することと、超音波診断装置の原理や活用可能性に関するものから構成した。文献やエビデンスに基づく資料と、現在の医療介護環境から考えられる深部静脈血栓症リスクや改善可能性とともに、ハンディエコーが看護ケアにもたらす影響について、参加者が意見を述べられるよう、一部グラフィックレコーディング手法を用いた対話を通じて、新しい看護方法について検討する事ができた。手術室看護師、理学療法士、WOC認定看護師、臨床検査技師から深部静脈血栓症に限定しない活用可能性に関するいくつかの意見が聞かれた。また、「深部静脈血栓症は発生していない」という認識、「深部静脈血栓症は多い」という認識の医療者がいることがわかり、それはスクリーニング方法の違いによるものと考えられ、深部静脈血栓症の検索、診断の意義そのものを改めて確認することにもつながった。 また、2019年度より実施していた福岡県内介護老人保健施設を対象とした深部静脈血栓症に関する質問紙調査について、項目数を減らし、Web調査に変更し、COVID-19流行状況を鑑み2021年度改めて実施したものの、179施設中回答が得られたのは10施設に留まった。当初の調査目的は達成できないものの、継続して情報提供に協力していただける3施設から連絡を頂いたので、調査方法を改めて検討し、高齢者施設における深部静脈血栓症への対応、予防、看護について明らかにしたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療機関において、POCUSを用いることがDVTの早期発見や予防に貢献できるかをRCTで検討する予定であったが、COVID-19の影響で、研究者がベッドサイドに行くことができず、看護師への勉強会開催に留まっている。勉強会開催の方法として、グラフィックレコーディングを用いるなど、新たな説得手法を試みるなど廻り道をしつつも、新しい看護技術や看護師役割の拡大の準備段階としては、慎重に進められている実感がある。また、看護師等医療従事者を対象とした勉強会では、資料だけでなく、レンタルした富士フィルムメディカル社製アイビズエアの実機を用いて、体験しながら行うことができたことから、臨床での実用可能性について理解や課題の認識が高まったものと思われた。 本来であれば、ベッドサイドで患者を対象とした下肢深部静脈エコーを実践的にトレーニングまたは試行し、予防策として看護師の指導監督下での下肢運動方法を実施する段階であったことを考えると、予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
福岡県内介護老人保健施設を対象とした深部静脈血栓症に関するWeb調査結果、2つの協力病院の取組みをまとめて、今後の研究の根拠資料とする。つまり、深部静脈血栓症の早期発見、早期診断につなげることの意義とハンディエコーが果たしうる役割について示すこと、看護師として医療機関や介護施設で予防と発見のために有効な手段を可能な限り見出すことが直近の計画である。次に、ハンディエコーでの下肢静脈簡易スクリーニング方法について、協力病院とともに手順を作成し、看護師を対象とした勉強会を開く。日常診療への実用可能性については、協力病院の血管外科部局長、関連診療科長への調整により実施方法を検討していく。最終年度である2024年度にはそれらの結果が得られるよう進めていく。
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