研究課題/領域番号 |
20H04033
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
中野 聡太 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 准教授 (50615317)
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研究分担者 |
掃本 誠治 熊本大学, 病院, 客員教授 (30535638)
岡田 裕隆 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (40435160)
和田 親宗 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (50281837)
山本 恵子 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 教授 (60274982)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 関節固定化 / 電気刺激 / 傾斜刺激 |
研究実績の概要 |
関節固定化を解除するための資源開発につながる取り組みを行った.一つ目に,肩関節内転位と中手指節関節屈曲位の固定化を解除する上で,拮抗筋への電気刺激が有効であるかを明らかにするため基礎実験を行った.具体的には,健常成人15名に対して,肩関節内転固定時の三角筋中部線維走行部,中手指節関節屈曲固定時の総指伸筋走行部への電気刺激の有無により,当該関節を固定化する運動方向への発揮力に違いが生じるかを検証した.結果,肩関節内転方向への発揮力は電気刺激有群で10.7±2.9kgf,電気刺激無群では13.4±3.6kgfであり,平均で2.7kgfの差を認めた.一方,中手指節関節屈曲方向への発揮力を握力で確認した結果,電気刺激有群では32.6±4.3kgf,電気刺激無群で33.7±2.7kgfであり,平均で1.1kgfの差であった. 二つ目に,屈曲位に固定化した関節に傾斜刺激を付与することで伸筋の活動が促通できるかを確認するため,健常成人6名において電動Tilit Table(角速度2.68[deg/s])を用いた実験を行った.電動Tilit Table上で肘関節最大屈曲位にて腹臥位をとらせ,傾斜角度の変化に伴う上腕三頭筋の筋活動を筋電図にて測定した.結果として,電動Tilit Tableと床面のなす角度が約70°で緩やかな筋活動の増加(最大随意収縮の10%程度)がみられ,程度の差があるものの5名においては,その後の角度減少に伴い緩やかな筋活動の増加傾向が続いた.これらの結果と経費,安全性を考慮し,特殊傾斜台の仕様を定めた.具体的には,上半身の傾斜を行わない場合には最大130°まで,上半身の傾斜(最大80°)を行った場合には最大70°までの傾斜が設定できるものとした.また,角速度条件を考慮した実験を行えるよう0.01~3.75°/秒の範囲で設定できるものとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により,研究機器を作製するための資材調達の遅延や,実験の参加者募集に遅延が生じているため.
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今後の研究の推進方策 |
関節固定化を解除する資源の開発に関して述べる.健常成人に対する実験結果から,拮抗筋への電気刺激が肩関節内転方向への発揮力を減少させるのに有効であったため,実際に肩関節内転位固定を認める高齢者を対象に三角筋中部線維の電気刺激の有効性について検証する.健常成人を対象にした実験では口頭指示にて内転方向へ最大の力を入れるように促し,電気刺激の有無による力の変化を捉えた.一方,低活動の高齢者を対象とする場合には,肩関節内転位から一定の範囲で他動的に外転方向へ動かし,その際の抵抗力を指標とする予定である.従って,肩関節を任意の範囲で他動的に外転運動させ,且つ抵抗力を計測できる装置を作製する必要がある.装置の完成後,高齢者を対象とした調査へ移行する.また,特殊傾斜台の角度条件と角速度条件を任意に設定できるプログラムを導入し,健常成人15名を対象に肘,膝,股関節の伸筋活動を促進するための有効な傾斜刺激を探索する. 続いて,移乗介助場面における療養高齢者の力の発揮を促進する手法の臨床効果の検証に関して述べる.協力施設にて車椅子への移乗を部分介助で行っている高齢者を抽出し,模倣要介助者支援体験法の介入を受けた看護師及び介護職員による支援を受ける群と通常ケアを受けるコントロール群に無作為に分け,その継続による効果を移乗介助時の下肢荷重量,筋厚等で検証する.
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