研究課題/領域番号 |
20H04046
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所) |
研究代表者 |
堀田 晴美 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (70199511)
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研究分担者 |
重本 和宏 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 副所長 (40284400)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 交感神経 / 筋収縮力 / 張力 |
研究実績の概要 |
高齢者のサルコペニア(骨格筋萎縮)予防のために「口から食べる」重要性が指摘されている。しかし、その理由はよくわかっていない。嚥下を誘発する咽頭への機械的刺激が、自律神経を介して甲状腺からのホルモンの分泌を促進するという現象を、私たちは新たに見出した。本研究では、この成果を発展させ、口や喉からの情報が、自律神経を介して骨格筋の維持をもたらすとの仮説を確かめるための基礎研究をおこなう。本研究の成果は、高齢者のサルコペニアを予防する新しい方法の開発につながるものである。 昨年度の研究により、咽頭刺激によって筋交感神経活動が高まり、骨格筋血流に影響を与えることが明らかになった。そうなると、その筋交感神経の活動は、骨格筋のはたらき(つまり筋収縮)にどのような意味があるか、疑問が生じる。そこで今年度は、骨格筋収縮力に対する筋交感神経の役割を調べた。 一側下肢を固定し、アキレス腱を露出して張力計に接続し筋張力を測定した。下腿三頭筋を支配する脛骨神経を、埋め込み電極を使って電気刺激した。刺激には、太い運動神経(I群線維)のみを興奮させる弱い電流を用いた。間欠的に高頻度刺激を加えることで、歩行時のようなリズミカルな筋収縮を誘発した。骨格筋が収縮すると、収縮筋からの細い求心性神経(Ⅲ群・Ⅳ群線維)が興奮して、反射性に心血管系の交感神経が興奮することが古くから知られている。脛骨神経刺激により下腿三頭筋が収縮すると、その時反射性に下肢の筋交感神経も興奮すると推測される。下肢への交感神経の専用経路である腰部交感神経幹を切断して、その切断前後で坐骨神経刺激による前脛骨筋の収縮力を比較することで、交感活動の筋収縮力への関与を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに進んでいる。英文原著論文を国際誌に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
咽頭刺激の慢性効果を調べる研究にとりかかる。これまでの麻酔ラットを用いた研究により、咽頭刺激が下肢の筋交感神経を活性化することと、下肢の筋交感神経活動が下肢筋力に10%程度寄与することが明らかとなって。そこで、咽頭刺激のたびに生じる筋交感神経の活性化の繰り返しが、下肢筋力に及ぼす効果を慢性実験により解明する。この目的のため、嚥下により咽頭を頻繁に刺激される動物と、嚥下回数が少ない動物で、下肢筋力を比較する。
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