研究課題/領域番号 |
20H04055
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高橋 哲也 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (00461179)
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研究分担者 |
横山 美帆 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60407301)
齊藤 正和 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (60640597)
森沢 知之 順天堂大学, 保健医療学部, 准教授 (80552512)
日下 さと美 (上村さと美) 東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (30433618)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 心臓リハビリテーション / 心臓外科 / 要介護 / 悪化 / 遠隔医療 |
研究実績の概要 |
研究Ⅰ:術前、術後1週間、そして退院時に握力やShort Physical Performance Battery (SPPB)をはじめとした身体的フレイル指標を測定。また、患者要因・術前要因・手術関連要因・術後要因のデータを収集・測定し、入院期間内に身体機能が術前の状態まで回復しない(急性期リハビリの効果量の低い)患者の割合や特徴についての調査を、前年度に引き続きデータの収集を行った。2021年度末で患者登録数は239人となった。
研究Ⅱ:退院後に要介護度が増悪する患者割合や要介護度増悪に関わる因子については、一部の患者で退院後6ヵ月のフォローアップ調査が開始できた。
研究Ⅲ:心臓外科術後の退院後早期の身体機能の回復や要介護度の重度化防止に対する遠隔リハビリの効果の検証を開始した。順天堂医院にて入院中に心臓リハビリテーションを受けた患者で、SPPBが退院までに満点に到達することができなかった患者に対して、遠隔での継続したサポートを受ける意思のある患者(遠隔リハビリ群)と遠隔支援の意思はないが比較対照群として参加する意思のある患者(対照群)を2021年度末までに両群ともに20例、合計40例を登録した。引き続き登録患者を増やしていく。20例の遠隔リハビリ群は全例事故なく実施できた。中間解析ではあるが、退院早期の遠隔リハビリは身体機能の回復を促進した。その退院早期の遠隔リハビリの効果が、退院6ヵ月後の転倒回数や基本チェックリストの点数に影響している傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は研究Ⅰ・研究Ⅱ(心臓外科術後の要介護度悪化に関わる因子の検討)は、おおむね順調に進められたが、研究Ⅲ(退院後の身体機能再獲得や要介護度悪化の早期予防の遠隔リハビリの効果について)は、2020年度は遠隔リハビリテーションの安定的な実施に向けて機器メーカーと協議を重ね、遠隔診療サポート付き見守り支援システムの動作確認を行ってきたが、安定した接続は難しい状況であった。2021年度も機器メーカーと情報交換を進めた結果、2021年7月から研究Ⅲの患者登録を開始することができた。順天堂医院にて心臓手術を受け、入院中に心臓リハビリテーションを受けた患者で、SPPBが退院までに満点に到達することができなかった患者は総じて少なかった。手術の低侵襲化に伴い手術後の運動機能の低下が少なくなったことが大きな理由として挙げられる。また、そのような中でも手術後に運動機能の低下を認める患者は高齢患者が多く、デジタルリテラシーの問題もあり、研究参加の同意の取得に困難を要した。家族の協力を得ることで実施できているが、接続にかかる操作性をよりシンプルにする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
研究Ⅲ(退院後の身体機能再獲得や要介護度悪化の早期予防の遠隔リハビリの効果について)がやや遅れている最大の理由は、手術の低侵襲化に伴い手術後の運動機能の低下が少なくなったことが挙げられる。また、対象が高齢者であることと、高齢者の低いデジタルリテラシーの問題が大きい。その為、遠隔リハビリの通信システムを可能な限り単純化し、操作性をよりシンプルにする検討を進める。
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