研究実績の概要 |
冗長性を有する歩行動作において、特徴的な低次元成分の抽出方法を義足装着者の動作データへと適用した。本研究計画において、代表者は以前に、歩行動作における身体重心が描く曲線がリサージュ曲線でフィッティングでき、歩行速度ならびに歩行走行での切り替えにおける変化が明確に定量化できることを示している(Takiyama+, 2020, J Biomech)。しかしながら、通常のリサージュ曲線は対称に近い身体重心軌道のみしかフィッティングできずない問題点があり、義足装着者のように歩行動作そのものに非対称性を有する場合に定量化する方法が明らかでなかった。今年度は、フーリエ級数展開を利用して、義足装着者を対象にしたオープンデータを元に、歩行速度に依存した非対称なリサージュ曲線の変調様式を明らかにした(Takiyama+, 2024, Front Act Liv Sports)。
さらに、歩行研究は非常に数多く行われているものの、妥当な統計解析手法が適用されていないという問題点が存在する。特に、少ない歩数ならびに少ない被験者数にて解析が行われるケースが散見され、代表者ならびに分担者はパワーアナリシスに基づき、この問題の解決に挑んだ。具体的には、様々な被験者数ならびに歩数、様々なグループ間・条件間での違いを想定しシミュレーションを行い、妥当な検出力に達するサンプル数の導出を試みた(Shinya & Takiyama, 2024, J Biomech)。
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