研究課題/領域番号 |
20H04147
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
魚住 龍史 京都大学, 医学研究科, 講師 (30738836)
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研究分担者 |
川口 淳 佐賀大学, 医学部, 教授 (60389319)
小谷野 仁 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業情報研究センター, 研究員 (10570989)
秋山 直美 岐阜保健大学, 看護学部, 講師 (20636534)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 生物統計学 / 生存時間解析 / 臨床研究 / 統計的推測 / データサイエンス |
研究実績の概要 |
臨床研究では,ある基準の時刻からある目的の事象(例えば,死亡)が起こるまでの時間を対象とした解析(以下,生存時間解析)が行われることが多い.生存時間解析の標準手法として比例ハザードモデルと呼ばれる統計モデルが挙げられ,群間のリスク比に相当する指標であるハザード比が時点に依らず一定である性質(比例ハザード性)を仮定しなければならない.しかし,実際の臨床研究から得られる生存時間データでは,比例ハザード性を仮定できない場合が存在し,がん免疫療法の臨床研究から得られる生存時間データは比例ハザード性が仮定できない代表例といえる. 本研究の目的は,がん免疫療法の臨床研究に関連した諸問題に対する新たな統計解析手法を開発することである.本年度は,下記の研究を遂行した. [1] 生存時間解析の1標本問題における統計解析手法に関して,文献調査及び研究協力者とのディスカッションを行い,新たな方法論の開発を目指した. [2] 比例ハザード性が仮定できない状況における統計解析手法として,境界内平均生存時間を活用した新たな統計的推測方法を提案した. [3] ある疾患の再発を評価する場合を考えると,死亡が発生することによって,本来評価したい再発が評価できないことがある.このようなイベントは競合リスクと呼ばれる.また,臨床試験では,試験の途中段階で実施する中間解析において,明らかに有効である場合,あるいは明らかに無効である場合,倫理的・経済的な観点から試験を途中で中止することがある.[1] 及び [2] に対して,競合リスクを考慮した状況および中間解析を実施する状況への拡張可能性について検討した.さらに,ニューラルネットワークへの拡張可能性についても検討した. [4] がん免疫療法を含む臨床研究で事例研究を実施し,生存時間解析の実践面の観点から検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を学術論文として投稿し,国際学会・国内学会での発表を通じて情報発信につとめた.生存時間解析の1標本問題における統計的推測に関しては,研究協力者とのディスカッションを通して,来年度中には提案法を構成できる見込みである.以上,本年度に目標としていた内容をほぼ達成できたため,おおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
生存時間解析の1標本問題における提案法の開発を目指し,実データへ応用した場合の妥当性を数値実験により評価する.そのうえで,研究成果をまとめ,学術論文として投稿する予定である.また,がん免疫療法を含む臨床研究で事例研究を実施し,生存時間解析の実践面の観点から検討する.
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