Internet of Things (IoT) デバイスの発展に伴い、益々膨大なデータが生成される中、IoT/組込みシステム上で即時にデータ処理するエッジコンピューティング技術の確立は、学術研究発展・市場開拓にとって喫緊の課題である。IoTアプリケーションの多くは、多少の計算誤差を許容可能な特徴があり、近似計算という新しいデータ処理技術は、上記の課題の大きなブレークスルーになる。本研究は、IoTアプリケーションを適切に近似計算するための基礎技術を確立する。特に「どの程度」と「どのぐらいの頻度で」という2つの大きな問いに答えるため、近似計算の学術基盤と効率的な利活用技術を確立する。研究代表者は、前年度、これまでの研究成果によって得られた知見を有効活用するAC手法を整理し、不足する部分については新たなAC手法の開発を行った。特に、効率的なプログラム解析を実現するため、Graph Neural Networkを取り入れる方法に着手した。 本年度は、前年度に引き続き、Graph Neural Networkを用いたプログラム解析手法の実装を進めた。具体的には、ある制約の下で、最も類似性の高いプログラムを部分的に抽出する手法に取り組んだ。さらに、実用的なアプリケーション(様々な方式の機械学習および暗号システムの乱数生成器等)に対してデータ及びアルゴリズム由来の近似化耐性および近似化の影響(ハードウェアコスト)の調査・評価を行った。
|