研究課題/領域番号 |
20H04160
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
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研究分担者 |
冨山 宏之 立命館大学, 理工学部, 教授 (80362292)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ラボオンチップ / MEDA / DMFB / PMD / 操作エラー / タスクスケジューリング |
研究実績の概要 |
Digital Microfluidic Biochip (DMFB) は生化学実験を非常に効率的に行うことのできるラボオンチップである。DMFB 上で実際に液滴の分割を行うとき、理想的には 1:1 で分割されるところに操作誤差が発生する場合がある。システムを多重化すれば信頼度が向上するのと同様に、同じ濃度を作る操作を多重化するように混合グラフを変形すれば、誤差の影響を減らすことができる。そのため、(Bit Scanning) 法という比較的効率の良くない試薬合成手法をもとに合成された単純なグラフを2重化する手法が提案されている。ただ、この手法はより効率の良い一般的な混合グラフには適用できないため、 BS 法より効率の良い試薬合成手法である REMIA (Reactant Minimization Algorithm) をもとにしたグラフにもノードの二重化を行う手法を考案した。提案手法では、REMIA で発生する余剰液滴を積極的に利用し て行うため、グラフ変形によるコスト増加が少ない。この手法をいくつかの濃度合成の例で評価して、その成果を国際会議で発表した。 Micro-Electrode-Dot-Array(MEDA)型のラボオンチップを対象としたルーティング法を開発した。開発したルーティング手法は、液滴の分離、ルーティング、および、混合を一体的に最適化する。これにより、従来のルーティング手法と比較して、入力リザーバの数を削減することが可能である。この成果を査読付き国内ワークショップに投稿した。また、ラボオンチップ設計最適化への応用を見据え、タスクスケジューリング、LSI資源共有、ドローン飛行ルーティング等に関する研究を発展させた。これらの成果を、2編のジャーナル論文と5編の国際会議論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り操作エラーに対する考察が進んでおり、また,関連するラボオンチップに関する研究やタスクスケジューリングに関する研究が順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
次世代の大規模なラボオンチップをエラーも考慮して効率的に使いこなす設計手法を確立するための要素技術の確立のために、以下の項目の研究を進める。① 初年度に、DMFBにおいて「ある操作の分割エラーが最終結果にどの程度影響を与えるか」や「ある操作のバックアップがある場合とない場合で、エラーの回復のために必要な操作がどの程度異なるのか」といったエラーの影響を解析する手法を開発した。この手法をベースに、分割エラーの影響と試薬合成のコストのトレードオフを考慮した設計手法の検討を進める。② 初年度に、PMDなどの1:1以外の混合比率の操作が可能なラボオンチップでの試薬の混合方法を検討した。検討した手法をベースに、1:1以外の混合比率を用いた効率的な混合手法の開発を行う。③ 初年度に、MEDAにおける複数の目標濃度の液滴を合成する際に、ルーティングの方法によりルーティング時間および使用セル数が変わることを明らかにした。この知見をもとに、MEDAにおける効率的なルーティングやスケジューリング手法の開発を行う。④ 初年度に、バイオチップに限らず一般的なチップを対象として、計算資源の使用量を最適に決定するタスクスケジューリング手法を開発した。開発したスケジューリング手法を発展させ、バイオチップ向けに応用する。⑤ 上記以外に、ラボオンチップの設計手法に関しては研究動向を調査して、新規の研究テーマを見つけて研究を進める。
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