研究課題/領域番号 |
20H04284
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
葛 崎偉 山口大学, 教育学部, 教授 (30263750)
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研究分担者 |
中田 充 山口大学, 教育学部, 教授 (60304466)
呉 靭 山口短期大学, その他部局等, 教授 (70708015)
松野 浩嗣 山口大学, その他部局等, 理事 (10181744)
北沢 千里 山口大学, 教育学部, 准教授 (30403637)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 東洋医学 / 鍼灸治療 / ペトリネット / モデリング / 人体モデル / シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では研究の目的を達するために,2020年度において,(1)東洋医学の証(病名)に関する症状と五臓六腑の状態との関係を示すデータベース(症状・臓腑DB)を構築すること,(2)従来の人体モデルに取り入れていなかった東洋医学の諸要素と五臓六腑との関係を分析すること,を実施した. 東洋医学では,四診(望診・聞診・問診・切診)で得られた症状に基づいて証を推測して,五臓六腑の状態を判定している.本研究では,証の推測および五臓六腑状態の判定を自動的に行うために,すべての証に関係する症状と臓腑状態を関連付けた症状・臓腑DBが必要である.この症状・臓腑DBは,証と各証に現れる可能な症状の関係および症状と各症状が起こされ得る五臓六腑状態の関係を示すデータベースを作成・統合して構築した.また,望診の1つである舌診について,舌の自動認識を人工知能技術を用いて試みた. 東洋医学では,気,血,津液および「虚実補瀉」の補瀉法といった要素も考えられており,これらの諸要素を新しい人体モデルに反映する必要がある.気,血,津液のそれぞれの役割と五臓六腑との関係を調べ,新しい人体モデルの構築に必要な情報を整理した.また,虚実補瀉は五臓六腑の虚と実をそれぞれ補と瀉で行う東洋医学の治療原則であり,それに基づいて人体モデルにおける経穴刺激の度合の定量化に必要なデータを収集した.さらに,虚実補瀉の治療原則に基づいて,これまでの人体モデルを再構築した. 以上の症状・臓腑DBの構築や東洋医学の諸要素と五臓六腑との関係の分析に必要なデータについては,専門の著書や論文の調査および鍼灸治療を行っている機関に対する調査を実施して収集した.また,研究で得られた成果を取りまとめて国内の研究会,国際会議および学会論文誌で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で,データ収集が十分にできていない部分もあるが,おおむね順調に進んでいる.その理由としては,ほぼ予定通りに,次の研究成果が挙げられているからである.①計画していた症状・臓腑DBの構築,および,②虚実補瀉の治療原則に基づいた人体モデルの再構築ができた.さらに,③望診の1つである舌診に関する舌の自動認識ができた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の解決に関する今後の進め方は,以下の通りである. ①引き続き,関係のデータ収集を実施すると共に,気,血,津液および「虚実補瀉」の補瀉法といった東洋医学の諸要素を新しい人体モデルに反映させていく. ②臓腑状態を推定するために四診(望診・聞診・問診・切診)の結果を用いることになっている.四診の中で特徴的なものは舌診を始めとする望診である.その舌診による臓腑状態の推定法を人工知能技術を用いて開発する. ③人体モデルを用いた鍼灸治療シミュレーションの結果を評価するために,主に治療現場で行われている治療法のデータ(刺激する経穴のパターン)を活用する.それと共に,症状から直接治療用経穴のパターンを導き出す人工知能技術を開発し,その技術も適用して多角的に鍼灸治療シミュレーションの評価を行う.
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