研究課題/領域番号 |
20H04297
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
松葉 龍一 東京工科大学, 先進教育支援センター, 教授 (40336227)
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研究分担者 |
永井 孝幸 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (00341074)
甲斐 晶子 青山学院大学, 情報メディアセンター, 助教 (80646365)
久保田 真一郎 熊本大学, 半導体・デジタル研究教育機構, 准教授 (80381143)
鈴木 雄清 大分大学, IRセンター, 准教授 (00333253)
平岡 斉士 放送大学, 教養学部, 准教授 (80456772)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ICT個人学習支援環境 / 自律学習 / 国際連携 |
研究実績の概要 |
本年度の実績の1つは、本課題において進めているオンライン学習支援環境の基盤システムgraaspを立ち上げたことである。Graaspシステムは、ローザンヌ工科大学(EPFL)で開発が進められてきたPLE(Personal Learning Environment) であり、今回、graasp.jpドメインを取得の上で導入した。同システムは、LMS(Learning Manegement System)ではなく、PLEとして設計・開発されているため、授業を管理することではなく、学習者個々に視点を当てシステム化されているため、我々の目的との親和性が高い。今回の導入に際してEPFL関係者とのコンタクトを持ったことに加えて、graaspシステムの開発責任者であるEPFL Denis Gillet教授が来日されたことに合わせて、同氏との面談をもち、今後の開発、本課題実践に関する助言を受け、今後の協力を得られたことも実績である。 教育面では、前年度に開発、試行した学習者の学習力を高め自己調整学習を身につけるための授業設計とコンテンツの改善開発を進め、再度の形成的評価のための実践を行い、改善の成果確認をできたことである。また、開発コンテンツを他組織でもテスト運用してもらい、組織環境に依存せず、学習者にとり有用となることも確認できた。 加えて、社会・国際情勢のためにこれまで実施できていなかった海外組織に属する研究者、教育実践者との協働、組織的な協力体制の構築の1つを実現できた。 オープンユニバシティ・カタルーニャ(UOC)からAntonio, Perez-Navarro教授を招聘し研修集会を開催した。また、本チームメンバーとのミーティングを持ち、メンバー個々が開発してきたシステムと、教育実践のレビューを受け、高い評価を得て、今後、同氏、UOC研究者との連携に関する約束を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の開始と同時期に世界的に流行が始まったコロナ禍による国内外への移動制限、研究分担者の所属組織による制約等に多大な影響を受けて、研究チームとして、十分な活動、協働ができていなかった。 本年度もコロナ禍と国際情勢の影響は依然として残っていたが、前年度の実績を踏まえて、本研究題の柱の1つである海外先進組織の教育・研究実践者を招聘した国際研修会の開催と、個別面談により、今後の協働、連携協力体制の構築をできたこと、半導体不足等の社会情勢により進められていなかった本研究課題で構築予定の学習支援環境の基盤システムの立ち上げをクラウドシステムを利用して行うことができたことにより、これまでの遅れをある程度は取り戻すことができた。 しかし、これまでの進捗遅れの影響をまだ完全に払拭できたわけではない。コロナ禍においてICT関連の新技術の教育分野への導入・転用が飛躍的に進んだ。それに関して、調査・検討を進めてきているが、当初計画からの再検討とゴール設定の変更は必須であると分かった。一定の進捗ペースは取り戻せているが、今後の検討、計画変更は必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、技術と教育の両面において、学習者が生涯にわたり学び続けるための支援を目的に活動している。代表者、分担者個々の独自の活動、チーム内での連携開発を進めることで、計画事項それぞれに対し、一定の成果を得ている。 技術面での支援計画の1つとして、AI等の新技術の教育分野への転用検討と小規模支援システムの開発を立てているが、コロナ禍において、新技術の教育分野への転用は急速に進み、教育・学習での利用は当然のこととなった。本プロジェクト開始時に想定した新技術の教育転用はある程度整いつつあるように考える。この点に関しては、当初計画と現状を比較し、本研究の成果についての再検討を行う。 コロナ禍の残照は低下したが、国際状況の悪化により、海外協力者との協働、連携体制の構築に向けた活動は依然として難しい状況にある。社会情勢を見つつ、まだ十全に活動できていない海外組織の訪問調査と国内組織の調査活動や協働を積極的に進める。また、社会情勢の影響もありメンバー個々が進めてきた活動の成果報告が十分にできているとは言い難い。先進組織への訪問調査等と連動させた国際学会での発表報告、国内研究会、学会への参加を積極的に行い、社会への成果還元に努める。
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