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2021 年度 実績報告書

ミクロネシアと日本にとっての「南洋群島」経験とその継承に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 20H04409
配分区分補助金
研究機関法政大学

研究代表者

今泉 裕美子  法政大学, 国際文化学部, 教授 (30266275)

研究分担者 飯高 伸五  高知県立大学, 文化学部, 准教授 (10612567)
大串 潤児  信州大学, 学術研究院人文科学系, 教授 (90324219)
崎浜 靖  沖縄国際大学, 経済学部, 教授 (80331180)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード南洋群島 / ミクロネシア / ミクロネシア・日本共同研究 / 共通教育教材 / 地域交流
研究実績の概要

年度初めにCOVID-19感染拡大の可能性を念頭に計画したものの、主たる調査地(沖縄、東京)の感染者割合が非常に高く、ミクロネシア各国・地域の入国制限、等から計画の見通しを付けることが非常に困難であったが、以下の実績をあげた((4)以外は全てZOOM)。(1)パラオの中・高等教育用歴史教科書を執筆した研究協力者のDr. Elizabeth D. Rechebeiが、同教科書について講演した。日本の高校歴史教科書の南洋群島に関する記述、歴史記録や継承の特徴との異同を議論した。(2)Palau Community College学長で、パラオで歴史の記録化、教育実績が豊富なDr. Patrick Telleiに、歴史教育の現状、生徒や学生の学習状況をインタビューし、日本統治時代に関する史・資料の情報交換をした。(3)2022年4月開始の高校「歴史総合」教科書を執筆した大串が、新科目の編纂の特徴、「南洋群島」の取り扱いについて情報提供した。(4)今泉と崎浜は、沖縄で南洋群島帰還者会・サイパン会会長を取材し、映像記録化した。崎浜は沖縄県本部町で終戦後作成の行政資料に、南洋群島移民の渡航歴を調査した。飯高、大串は高知で「南洋群島」経験、及びマーシャル諸島核実験被ばく経験の「継承」に関する共同調査の準備をした。今泉は福島県会津で共同研究の準備調査をした。(5)史・資料の調査と収集、南洋群島帰還者の音声、映像をデジタル化した。(6)今泉とDr. Rechebeiは課題に関する最新情報の交換、分析を逐次行い、全体会議ではこれを共有し計画調整した。(7)全体会議では、各自の調査報告や課題を考察をした。(8)沖縄の教育、研究、地域史編さん、南洋群島帰還者と関係者の「南洋群島」経験の記録化、継承の実情を知り、本課題をつなげる試みとして沖縄国際大学南島文化研究所でセミナーを実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

COVID-19の感染拡大の可能性を念頭に余裕をもって計画を立てたものの、変異株の感染拡大も加わり、本研究課題の国内での主たる調査対象である沖縄や東京が感染者割合が最も高い地域のひとつとなったこと、ミクロネシア(ただし旧南洋群島)各国・地域で入国制限があり、共同で国内外での対面による調査や研究交流は実現できなかった。同理由から、各メンバーの諸活動の制約も大きく、研究の見通しを付けることが非常に困難であった。ミクロネシアの研究者、教育者とZOOMで研究交流を行うにしても、現地でもCOVID-19による予期せざる対応があり、研究交流のスケジュール設定に予想外の時間を要したり、設定しえたとしても、キャンセルや延期になったりした。なおミクロネシアでは地域によってインターネット環境、電力供給が必ずしも整っておらず、場所や時間の設定にも制約があることも一因している。さらに、国内の主だった資・史料館、図書館では入館制限があったこと、「南洋群島」経験を語って頂き記録化することをお願いした帰還者は、80代から90代の高齢者であるため、感染リスク軽減へのより一層の配慮が必要であったことによる。こうした条件下であるだけに、例え僅かな方でも映像記録化できたことの意義は大きい。国内での主な対象地域は、研究メンバーが比較的情報を持つ沖縄、高知に設定し、また福島県については今泉が準備調査を行ったが、その他の対象とすべきと考える地域(北海道、宮城県、八丈島、小笠原諸島、熊本県)は、COVID-19 の感染状況から現地調査が実現しづらく、現地調査以外の情報収集を進めながら機会を準備する。

今後の研究の推進方策

COVID-19の感染状況に応じて、本課題開始当初の計画で可能なことを行えるよう柔軟に調整する。特に「南洋群島」経験をもつ方々やその子の世代の高齢化が進み、本課題を僅かでも進める意義は極めて大きい。本年度は、全研究期間の折り返し年でもあることを念頭に以下のように進める。①マーシャル諸島共和国(特に高知との関係)、ミクロネシア連邦の研究者、教育者との研究交流の実現、②マーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦の歴史教科書、特に日本統治時代の記述に関する分析、「南洋群島」経験の継承に関する情報収集、①と②から旧南洋群島全域に関する本研究課題についての地域的な特徴や共通性の分析に向かう、③共同調査にはミクロネシア(旧南洋群島)で入国制限が解除された国や地域、国内では最低限沖縄で実施、④ミクロネシアの人々の「南洋群島」経験に基づく地域交流を沖縄と高知を中心に、両地域以外(北海道、宮城県、八丈島、小笠原諸島、熊本県など)についても情報収集、⑤ミクロネシアと日本の「南洋群島」に関する史・資料の収集、「南洋群島」時代を経験した方々の手記、「南洋群島」経験に関する地方の刊行物、報道、映像や音声などの収集、⑥ミクロネシア各国・地域の歴史教科書(特に日本統治時代)の翻訳や紹介、日本の高校歴史教科書の「南洋群島」に関する記述をミクロネシアの研究者、教育者に紹介、これをもとに意見交換、⑦南洋群島時代を経験した方々および関係者(特に子供、孫の世代)に聞き取りをし、映像記録化、⑧「南洋群島」経験の継承の担い手となる教育者、研究者、地域史編さん者、南洋群島帰還者やその関係者から知見を得るとともに、彼らの存在や活動に本課題を具体的につなげる方法の具体化(研究会やワークショップの開催、学会や研究誌の企画応募、大学や高校の授業での実践や生徒/学生同士の交流など)を準備あるいは実施。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] History of Palau (パラオ共和国教育省、1997)著者(その他の国・地域(米自治領北マリアナ諸島))

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      History of Palau (パラオ共和国教育省、1997)著者
  • [国際共同研究] President of Palau Community College(パラオ)

    • 国名
      パラオ
    • 外国機関名
      President of Palau Community College
  • [雑誌論文] 「たましいの自由」と戦争―家永三郎『太平洋戦争』の問い2021

    • 著者名/発表者名
      大串潤児
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 860号 ページ: 15頁-24頁

  • [雑誌論文] 書評 石田雅春『戦後日本の教科書問題』(吉川弘文館、2019年)2021

    • 著者名/発表者名
      大串潤児
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 853号 ページ: 94頁-98頁

  • [学会発表] 「共同研究の概要、沖縄から取り組む意義」2022

    • 著者名/発表者名
      今泉裕美子
    • 学会等名
      沖縄国際大学南島文化研究所 第31回 南島研セミナー「沖縄にとっての『南洋群島』経験―ミクロネシアと共有し、継承するために」(ZOOM開催。企画は本科研メンバー共同、報告は単独)
  • [学会発表] Oral History Research: A unique historical and ongoing relationship between the peoples of Okinawa and Micronesia [authorship: only]2022

    • 著者名/発表者名
      Yumiko IMAIZUMI
    • 学会等名
      International Federation of Library Associations and Institutions (IFLA) , Local History and Genealogy Section("New ways to approach the fields of local history and genealogy")
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「パラオにおける沖縄出身移住者の記憶」2022

    • 著者名/発表者名
      飯高伸五
    • 学会等名
      沖縄国際大学南島文化研究所 第31回 南島研セミナー「沖縄にとっての『南洋群島』経験―ミクロネシアと共有し、継承するために」(ZOOM開催。企画は本科研メンバー共同、報告は単独)
  • [学会発表] 歴史教育と沖縄史・「南洋群島」/ミクロネシア地域史2022

    • 著者名/発表者名
      大串潤児
    • 学会等名
      沖縄国際大学南島文化研究所 第31回 南島研セミナー「沖縄にとっての『南洋群島』経験―ミクロネシアと共有し、継承するために」(ZOOM開催。企画は本科研メンバー共同、報告は単独)
  • [学会発表] 地域史誌にみる『南洋群島』記述に関する特徴と課題2022

    • 著者名/発表者名
      崎浜靖
    • 学会等名
      沖縄国際大学南島文化研究所 第31回 南島研セミナー「沖縄にとっての『南洋群島』経験―ミクロネシアと共有し、継承するために」(ZOOM開催。企画は本科研メンバー共同、報告は単独)
  • [学会発表] 「ミクロネシアの収集と写真」[単独]2021

    • 著者名/発表者名
      飯高伸五
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究「日本人による太平洋の民族誌的コレクション形成と活用に関する研究――国立民族学博物館所蔵朝枝利男コレクションを中心に」
  • [学会発表] 「ペリリュー島の戦跡観光における記憶のせめぎあい」[単独]2021

    • 著者名/発表者名
      飯高伸五
    • 学会等名
      国立民族学博物館共同研究「オセアニア・東南アジア島嶼部における他者接触の歴史記憶と感情に関する人類学的研究」
  • [学会発表] 朝鮮戦争を考える―地域から/戦争経験から [単独]2021

    • 著者名/発表者名
      大串潤児
    • 学会等名
      神奈川県高等学校教科研究会社会科分会歴史分科会「日本史セミナー」
    • 招待講演
  • [学会発表] 「兵士になるということ―戦争を考える 兵士の視点/記憶の視点」「〝ゴジラ〟が現れる―核の記憶と戦争の記憶、大衆文化のなかの戦争」2021

    • 著者名/発表者名
      大串潤児
    • 学会等名
      静岡県立島田高等学校(Zoom)[単独]
    • 招待講演
  • [図書] 宮岡真央子・渋谷努・中村八重・兼城糸絵編『日本で学ぶ文化人類学』のなかの「「『日本人』を問い直す-多様性に寛容な社会に向けて」を執筆2021

    • 著者名/発表者名
      飯高伸五
    • 総ページ数
      総ページ280頁中、担当部分は21頁-38頁
    • 出版者
      昭和堂
    • ISBN
      9784812221051

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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