研究課題/領域番号 |
20H04421
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長岡 慎介 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (20611198)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | イスラーム金融 / イスラーム経済 / イスラーム経済学第一世代 / ポスト資本主義 / 歴史の中のイスラーム経済 |
研究実績の概要 |
2021年度(および課題を繰り越した2022年度、以下「今年度」)は以下の2つの研究を実施した。 ①イスラーム金融の新実践の最新動向の実態調査 今年度はイスラーム金融の最も新しい取り組みの事例として、伝統的なイスラーム取引手法を再構築した新しいイスラーム社会福祉システムに注目した。このスキームは、これまで単独で用いられてきた伝統的なイスラーム取引手法を、イスラーム金融を介して結合させることで、社会福祉機能を持つ新たなシステムとして再構築したものである。それによって、国家を介さない新しい社会福祉システムとして貧困削減や格差解消に寄与することが期待されている。今年度は、この先端的な実践を行っているインドネシアを対象に実態調査を予定していたが、コロナ流行による同国での調査制約が大きいことが判明したため、インドネシアと並んで先端的な実践を行っているマレーシアにて現地調査を実施した。 ②イスラーム金融の初期規範理論の形成過程の全容解明 昨年度に引き続き、イスラーム金融の実践が立ち返るべき本来のあり方としてイスラーム法学者が注目している初期規範理論の全容を解明するために、初期規範理論の形成に貢献した代表的な学者の思想と行動に焦点を当て、その足跡と当時の政治社会経済的背景を辿ることで理論の形成過程を明らかにすることを試みた。今年度は、南アジア(特にパキスタン、インド)の学者に焦点を当て、文献・オンライン調査を駆使し、初期規範理論の萌芽期である1920~40年代、形成期である1940~60年代にイスラーム金融理論の核を構成する諸理論(利子の禁止、損益分配理論)が南アジアにおいてどのように形成されたのかについて分析を行った。その結果は、学術雑誌にて公表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍により現地での資料調査や聞き取り調査に制約があったが、マレーシアでの現地調査が実現したとともに、在宅で入手可能な資料やオンライン調査を駆使したことにより、当初計画の8割以上は達成できたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現地でのみ入手可能な資料の調査、および対面での聞き取り調査については、コロナ禍が落ち着いたことから、次年度から積極的に実施してくことにしたい。
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