研究課題/領域番号 |
21H00475
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 鈴鹿大学 |
研究代表者 |
川又 俊則 鈴鹿大学, こども教育学部, 学長 (40425377)
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研究分担者 |
小林 奈央子 愛知学院大学, 文学部, 教授 (50597135)
冬月 律 麗澤大学, 外国語学部, 講師 (70726950)
郭 育仁 鈴鹿大学, 国際人間科学部, 准教授 (10761603)
李 賢京 東海大学, 文学部, 准教授 (80584333)
Mori Albertus.Thomas 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 外来研究員 (70849835)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 宗教青年会 / 教化 / 継承 / 地域 / ウィズコロナ / 多文化・多世代共生 / 年中行事 / 創造 |
研究実績の概要 |
本科研は、ウィズコロナ時代の伝統宗教などの次世代継承・地域創造の可能性を追究する。宗教青年会・教化団体の歴史研究・事例調査などを通じ、地域活性化・創造への応用と信仰継承の効果的方法を理論的に検証し再構築する。今年度は、神道青年会メンバーに会の現況や課題をウェブ調査・結果を研究会で報告した。定例のオンライン研究会にゲスト講師を迎え(合計4回)、それぞれの知見を学んだ。 個別研究は以下の通りである。川又は、日本キリスト改革派上野緑ヶ丘教会、日本基督教団西野田鶴見橋教会などプロテスタント教会や寺院等で調査し、コロナ禍の対応、課題などを伺った。小林は、若手宗教者が主管者を務める名古屋市の御嶽講、髙針心願講の立講百周年行事の取材をした。若い兄弟が代表者を務める金峯山出生元組教会本部で、ウィズコロナでの工夫された祭礼を調査した。冬月は、神社界の教化活動に関する現状や関連情報を、『神社新報』『月刊若木』神社庁の広報誌・研修会議事録等から収集し、内容を分析した。同資料でコロナ禍が神社活動に及ぼした影響も調べた。郭は、文献蒐集と聞き取り調査から、歴史的背景における宗教青年者の活動を確認し、次世代継承・地域創造の可能性を追究した。京都・嵯峨嵐山地区と金沢・城下の寺社を通して、時代の要請から宗教・信仰の在り方が土着信仰の風土、政治、経済に迎合しつつ、対応してきたことを理解した。李は、カトリック函館地区青年交流会のリーダー・メンバーへ聞き取り調査をし、ベトナム技能実習生などの諸支援活動を参与観察した。真如苑・青年会活動の収集を資料し、検討した。モリは、日本の華人系プロテスタント教会を対象に文献蒐集(東京台湾長老教会他から歴史を記す一次文献を入手)と関東圏で活動する華人系プロテスタント教会の指導者10数名へインタビューをした。信者のSNSグループに参加し、オンライン参与観察を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仏教・神道の青年宗教者の精力的活動を考察した前科研(「伝統宗教の『次世代教化システム』の継承と創造による地域社会の活性化」(17K02243))を発展させた本科研は、キリスト教や新宗教、講などを含め、明治~平成期の歴史的背景を踏まえつつ、令和の変貌期、ウィズコロナ時代の現時点を、詳細に比較検討し、次世代継承・地域創造の可能性を追究する。具体的には、①宗教青年会・教化団体の歴史研究、②宗教青年会・教化団体の事例調査、③地域に根差す市民団体や越境する人びとの事例調査を行っている。23年度に実施する台湾調査を含め、最終的に、④地域活性化・創造への応用と信仰継承の効果的方法を理論的に検証し再構築する。 残念ながらコロナ禍にあり、事例調査研究は、個別も共同もわずかしかできない1年間となった。予定していた調査ができなかった分は、上記①を中心に進めていた。
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今後の研究の推進方策 |
本科研は、神道・仏教・キリスト教・新宗教、および講・教化団体と5区分して宗派・教派別研究をしている。「宗教・対象別研究」は、分担制(川又=仏教・キリスト教・超宗教、郭=神道・地域、小林=仏教・講・教化団体、冬月=神道・青年会、李=キリスト教・新宗教・地域、モリ=キリスト教・越境・超宗教)で行う。また、各人は、研究対象に対する現地調査、オンライン調査やウェブ・文献調査なども遂行する。1年目のコロナ禍による事例研究の遅れを取り戻すべく、個別調査の再計画を行い、次年度計画と並行して行うことにした。「歴史・教化・理論研究」は、分担者が対象としている各宗教の歴史や教化・理論について、文献等からそれぞれを把握することで、文献蒐集等をそれぞれ行う。宗教関連紙誌あるいはSNS情報なども可能な限り収集し、最新情報をアップデートし、研究会等で共有していく。 「地域研究」としては、23年度に台湾の宗教青年会・教化団体や地域に根差す市民団体・越境する人びとの事例調査を行う。この調査全体のコーディネートは研究分担者郭が担い、キリスト教・仏教が中心となるが、宗教青年会などの情報を調査前に研究会等で参加者全員が学んでおく。22年度には、事前勉強会的なオンライン研究会を、藤野陽平准教授(北海道大学大学院)を講師に招いて行う。それを踏まえつつ、23年度の共同調査に向け、個々の分野での学びを深める。オンライン研究会・打ち合わせは毎月行う。2カ月に一度のペースで、各宗教や地域振興などの実践者を招いた研修会を行う。また、その際、超宗教の議論が進むように、本科研・前科研の過去の講師なども研修会参加者に加える。 本科研で考察した内容は、各人が所属している学会・研究会などで随時、報告し、質疑応答を踏まえ、完成年度を迎える次年度の報告書等にまとめるよう準備を進める。
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