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2023 年度 実績報告書

戦後演劇史の再構築:オーラル・ヒストリーからのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 21H00484
配分区分補助金
研究機関成蹊大学

研究代表者

日比野 啓  成蹊大学, 文学部, 教授 (40302830)

研究分担者 児玉 竜一  早稲田大学, 文学学術院, 教授 (10277783)
神山 彰  明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20287882)
井上 優  明治大学, 文学部, 専任教授 (20406797)
中野 正昭  淑徳大学, 人文学部, 教授 (40409727)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード日本近現代演劇 / オーラル・ヒストリー / アングラ・小劇場 / 歌舞伎 / 新劇 / 講談
研究実績の概要

小林誠(俳優・東宝現代劇)、神田松鯉(講談師)、前田昌明(俳優・新人会)の三名の聞き書きを行った。研究成果を社会に還元する試みとしては、上記のうち神田松鯉(講談師)および過年度に聞き書きを行った丸山博一(俳優・東宝現代劇)、坂本博士(声楽家・サカモトミュージカル主宰)、星野和彦(演出家)、ふじたあさや(劇作家・演出家)の計五名の聞き書きをウェブサイト「日本近代演劇デジタル・オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」(https://www.oraltheatrehistory.org)に公開した。また神田松鯉の聞き書きの様子の一部を記録した動画をYouTubeの「日本近代演劇デジタル・オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」チャンネル(https://youtube.com/watch?v=-egNFxILbAI)に公開した。
これらの成果をもとに『「喜劇」の誕生――評伝・曾我廼家五郎』(白水社、2024)や、日比野・神山彰・児玉竜一「「日本近代演劇デジタル・オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」の構築と運営について(上)」(『成蹊大学文学部紀要』第59号、2024)をはじめとして、各人が論文・著書の刊行・学会発表を行った。その結果、ジャンルごとの縦割りで語られてきた日本近現代演劇史において、ジャンル間の人的移動があったことを示すことができた。とりわけ今年度聞き書きを行なった三名の方々からは、1960年代後半における新劇が、アングラ演劇の対等に伴い没落していった時期という通説とは異なり、まだそれぞれのジャンルに人材を供給する「ハブ」として機能していたこと、また一般社会における認知度も50年代と比べてそれほど下がっていなかったことについての証言を得ることができ、演劇史の書き直しという大目標にまた一歩近づくことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

聞き書き取材の公開を精力的に行い、研究成果を社会に還元することができた。各人の論文著書の刊行・学会発表のペースは過年度に比べるとやや落ちたが、それでも高い生産量を誇っている。聞き書き取材の実施については取材対象者からいったん引き受けていただいた後にお断りされたり、日程が合わなかったりしたため、五人への聞き書きを予定していたが三人しかできなかった。

今後の研究の推進方策

今年度は最終年度であるため、聞き書き取材を予定通り五人実施する。これまで手薄だったアングラ・小劇場演劇出身の演劇人や研究者・評論家の方々にお話を伺うことを予定している。また日本演劇学会で本研究参加者によるパネルを作り、あらためて演劇研究における聞き書き取材の重要さについて訴えると同時に、課題や今後の展望について斯界の人々から広く知見を募る。各人による論文著書の刊行・学会発表のほか、聞き書きの方法論や意義について論じた論文を共著で発表する。

  • 研究成果

    (19件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (9件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 「クレージー・オン・ステージ――大劇場のクレージーキャッツ」2024

    • 著者名/発表者名
      中野正昭
    • 雑誌名

      『ユリイカ』

      巻: 56 ページ: 171-182

  • [雑誌論文] 「興行からみた博多にわかの展開――旦那芸と商業演劇」2024

    • 著者名/発表者名
      中野正昭
    • 雑誌名

      『東アジア文化圏の大衆的芸態における近代化・グローバル化の旅路』

      巻: 1 ページ: 40-66

  • [雑誌論文] 「戦後日本の『ロミオとジュリエット』受容再考 ――安藤鶴夫「悪縁」(一九四七)から見えてくるもの」2024

    • 著者名/発表者名
      井上優
    • 雑誌名

      『文芸研究』

      巻: 152 ページ: 77-96

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「古川ロッパ 連用日記 翻刻(昭和二十年七月一日~九月三十日)」2024

    • 著者名/発表者名
      中野正昭
    • 雑誌名

      『演劇研究』

      巻: 47 ページ: 47-69

  • [雑誌論文] 「「日本近代演劇デジタル・オーラル・ヒストリー・アーカイヴ」の構築と運営について(上)」2024

    • 著者名/発表者名
      日比野啓・神山彰・児玉竜一
    • 雑誌名

      『成蹊大学文学部紀要』

      巻: 59 ページ: 75-91

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「狂言作者の仕事」2023

    • 著者名/発表者名
      神山彰
    • 雑誌名

      『かぶき手帖』

      巻: 2023 ページ: 16-43

  • [雑誌論文] 「能勢人形浄瑠璃の魅力」2023

    • 著者名/発表者名
      神山彰
    • 雑誌名

      『浄るりシアター鹿角座公演』

      巻: 1 ページ: 1-1

  • [雑誌論文] 「中野實の「喜劇」と「青春」――もう一つの新派」2023

    • 著者名/発表者名
      神山彰
    • 雑誌名

      『新派映画の系譜学―クロスメディアとしての<新派>』

      巻: 1 ページ: 316-354

  • [雑誌論文] 「国立劇場の黙阿弥物――その残響と音域」2023

    • 著者名/発表者名
      神山彰
    • 雑誌名

      『歿後130年河竹黙阿弥―江戸から東京へ―』

      巻: 1 ページ: 134-141

  • [学会発表] 「歌舞伎・文楽と病」2024

    • 著者名/発表者名
      児玉竜一
    • 学会等名
      日仏演劇学会
  • [学会発表] 「安藤鶴夫「悪縁」(1947)から考える戦後日本の『ロミオとジュリエット』」2023

    • 著者名/発表者名
      井上優
    • 学会等名
      西洋比較演劇研究会第232回例会
  • [学会発表] 「河竹黙阿弥の明治――歴史の転換期における歌舞伎の変容」2023

    • 著者名/発表者名
      児玉竜一・今岡謙太郎・赤井紀美・高橋和日子
    • 学会等名
      日本演劇学会
  • [学会発表] 「コロナ禍の3年間――演劇・ミュージアム・社会」2023

    • 著者名/発表者名
      児玉竜一・板倉聖哲・伊達なつめ・後藤隆基
    • 学会等名
      早稲田大学演劇映像学連携研究拠点
  • [学会発表] 「如何にして資料から上演を復元するか」2023

    • 著者名/発表者名
      児玉竜一
    • 学会等名
      ワークショップ「演技と歴史」(ブリュッセル自由大学)
  • [学会発表] 「歌舞伎役者としての澤村四郎五郎」2023

    • 著者名/発表者名
      児玉竜一
    • 学会等名
      国立映画アーカイブ
    • 招待講演
  • [図書] 『「喜劇」の誕生──評伝・曾我廼家五郎』2024

    • 著者名/発表者名
      日比野啓
    • 総ページ数
      350
    • 出版者
      白水社
    • ISBN
      9784560092798
  • [図書] 『戦時下の演劇──国策劇・外地・収容所』2023

    • 著者名/発表者名
      神山彰・日比野啓・中野正昭
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      森話社
    • ISBN
      9784864051804
  • [備考] 日本近代演劇デジタル・オーラル・ヒストリー・アーカイヴ

    • URL

      https://www.youtube.com/@user-hp3sk3vp1r

  • [備考] https://youtube.com/watch?v=-egNFxILbAI

    • URL

      https://www.oraltheatrehistory.org

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公開日: 2024-12-25  

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