研究課題/領域番号 |
21H00500
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
宮崎 千穂 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (20723802)
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研究分担者 |
廣川 和花 専修大学, 文学部, 教授 (10513096)
脇村 孝平 大阪経済法科大学, 経済学部, 教授 (30230931)
畠山 禎 北里大学, 一般教育部, 教授 (60400438)
飯島 渉 青山学院大学, 文学部, 教授 (70221744)
諫早 庸一 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 特任准教授 (90831397)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ユーラシア / 高緯度帯 / 風土病 / 流行病 / パンデミック / 帝国医療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、従来、主にイギリス帝国を中心としてその植民地である熱帯を対象として展開されてきた帝国医療研究の対象をユーラシアの高緯度帯に拡大し、同地帯の風土病、またそれを含む疾病の広域流行化をめぐる諸問題を解明することで、医学・医療の近代性を呈示することである。 2022年度は、2021年度に続き、新型コロナウィルス感染症の世界的流行により、海外調査を行うことができなかった。そのため、2022年度課題を、翌年の2023年度に繰り越して取り組んだ。2022年度は日本国内の図書館・文書館での文献調査と海外の研究者とのネットワークを通しての文献収集を積極的に行い、2023年度は中央ユーラシアのウズベキスタンでの現地調査を研究代表者・研究分担者全員で実施した。 ユーラシア高緯度帯は、さまざまな自然地理的条件、歴史・文化的条件を有する広大な地域であるため、本年度も、ロシア、中国、日本、インドなどをそれぞれ研究の主な対象としている研究メンバー(代表者・分担者)が各専門地域の風土病・流行病とその帝国としての医療的対応を明らかにすべく各自で研究を進めた。第14回から第19回までの6回の本科研定例研究会では、各研究者の成果を共有し、共同研究として議論を深めた。第18回研究会では、ゲストとして福元健之氏に第一次世界大戦前より独立の時代にかけてのポーランド医師による結核対策についてのご研究を発表していただき、ユーラシア高緯度帯の風土病・流行病研究をさらに進展させる有意義な議論を行うことができた。定例研究会のほか、研究メンバーはそれぞれ学会やシンポジウムでの口頭発表や著書・論文等により研究成果を公表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は新型コロナウィルスの世界的流行により海外における文献調査及びフィールド調査を実施することができなかったが、2023年度に科研費を繰り越して執行することができたため、2023年度には研究代表者・分担者全員でウズベキスタンでの調査を実施することができた。そのため、2023年度は、国内・海外ともに文献・フィールド調査が充実したものとなり、本研究を一層進展させることができた。特に、ウズベキスタンにおける医・薬学史調査では、本研究の課題解決のために極めて重要な知見を新たに得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、可能な限り、国外・海外における文献・フィールド調査を実施する予定である。本年度の海外調査における成果は、本研究の進展のために国内外の調査が極めて重要であることを改めて示すこととなった。 今年度の方針にも盛り込んでいたが、次年度以降も、ユーラシア各地で試みられた帝国医療についての文献・フィールド調査と並行して、伝統医療もしくは民間医療の文献・フィールド調査も積極的に行う予定である。在来知との比較検討により、近代における帝国医療の特徴を浮き彫りできると考えるためである。
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