研究課題/領域番号 |
21H00501
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
柿原 泰 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60345402)
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研究分担者 |
藤岡 毅 大阪経済法科大学, 公私立大学の部局等, 客員教授 (60826981)
山内 知也 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (40211619)
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (60286622)
中原 聖乃 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (00570053)
林 衛 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (60432118)
高橋 博子 奈良大学, 文学部, 教授 (00364117)
徳永 恵美香 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい研究員 (50794773)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線 / 科学史 / 被ばく / 放射線防護 / 健康影響 / 疫学 / 甲状腺がん |
研究実績の概要 |
本研究は、放射線影響をめぐる科学的な調査研究をもとにした放射線防護の体系(その理論、基本原則の考え方、諸概念等)がいかに形成されたのか、そして実際に社会的な場面で放射線防護の実践がいかになされたのか、その実態と問題点について、科学史・科学論的研究を基に明らかにしつつ、とくにこれまでの放射線防護に欠けていると考えられる市民的観点からの再検討を加え、あるべき姿を提示すべく調査研究を進めている。本研究の初年度であった2021年度は、以前より取り組んできた調査研究をさらに発展させるべく、以下のような取り組みを行なった。 5月の日本科学史学会の年会ではシンポジウム「放射線被曝をめぐる科学史・科学論の課題――福島原発震災から10年」を企画し、これまでの諸研究で見えてきたことを確認しつつ、今後に向けた課題を提起した。 9月には本研究組織の全体研究会をオンラインで実施し、欧州放射線リスク委員会の勧告の意義を再検討し、また国際法の視角から原子力災害被災者の権利と国家の義務に関して議論を行なった。 3月には、NGO/NPOのいくつかの研究グループと協力して連続シンポジウムを企画し、市民的観点から放射線防護のあり方を問い直すシンポジウムの第1回目を開催した。とくに原発事故時の被災地住民がいかに放射線防護策を受けることができなかったか、避難と帰還をめぐる施策の過程においていかに意見がくみ取られることがなかったかということを聞き取り、放射線防護の実際の課題を理解・把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、本研究組織の全体研究会を2回(東京および神戸にて)行なう予定であったが、コロナ禍のため、オンラインでの遠隔会議とし、1回のみの開催にとどまった。とはいえ、各研究メンバーによる調査研究が進められ、連続シンポジウムの企画立案、そしてその一部が実現できたことから、次年度でのさらなる進展の足がかりを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度末から進めている連続シンポジウムを次年度も継続し、研究課題の明確化、論点の整理を行ないつつ、放射線防護について市民的観点からの再構築の作業をさらに進めていく。 また、ICRP(国際放射線防護委員会)やUNSEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)等の近年の報告書およびそれに至る過去の報告書について科学史・科学論的に検討・研究を進めていく。 本研究組織の全体研究会を2回開催し、研究の進展状況や計画の見直しの必要性の有無等を確認しつつ進めていく。
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