研究課題/領域番号 |
21H00505
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
柴 佳世乃 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (60235562)
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研究分担者 |
薦田 治子 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (00323858)
青木 静乃 (近藤静乃) 東京藝術大学, 音楽学部, 講師 (40425723)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 仏教 / 芸能 / 儀礼 / 読経 / 音曲 / 復元 / 唱導 / 読経道 |
研究実績の概要 |
本研究では、仏教儀礼の音声・音曲の解明に向けて、大きく以下の3本の柱を立てて研究を推進している。(1) 〈読経音曲〉の解明と復元実唱、(2) 〈唱導〉の音曲の解明と復元実唱、(3) 唱えられ、伝承された場の解明 2021年度は、研究代表者および分担者、研究協力者が5回にわたって研究会を開催して、(1)読経音曲の分析を中心に資料解析と検討を重ねた。「読経音曲」の片鱗が残されていると考えられる東大寺修二会の読経に焦点を絞り、東京文化財研究所に所蔵される音源を視聴・調査を行った。また東大寺修二会の練行衆を長く務めている僧侶に直接話を伺い、法会調査も併せて行った((3)の場の解明につながる)。それらを研究会にてさまざまな観点から議論した。また、古写本『孔雀経読音』なる芸能的読経に関わる資料を見出し、検討を開始した。 公にした研究成果は次の通りである。①柴佳世乃「読経道口伝書の生成―『読経口伝明鏡集』著者能誉の周辺―」、千葉大学『人文研究』51号、2022年3月、pp.55~96(読経道口伝書の成立環境を著者能誉を中心に明らかにした。) ②薦田治子:公演「平家物語の世界その6 語りの伝統を次代に:壇浦の悲劇―見るべきほどのことは見つ―」2022年9月9日(金)於 紀尾井ホール、演奏:菊央雄司・田中奈央一・日吉章吾、解説:薦田治子、曲目:能登殿最期 内侍所都入より。(『平家正節』の「先帝御入水」の復元を進め、平家語り研究会で実際に演奏してもらって、復元の検証と演奏技術の習得に取り組み、演奏会でその成果を公開した。) ③近藤静乃「《三十二相》の構成にあたって」、柴佳世乃「仏の三十二相を讃歎することば」、伶楽舎雅楽コンサートNo.37「伶倫楽遊」パンフレット、2021年5月17日(唱導のことばを音楽面・文学面・宗教面から捉え、復元実唱に解説を施した。)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度の前半期はコロナ禍で実地調査が思うように叶わなかった。その代わりにオンライン研究会を多く催し、研究を推進する工夫を行った。一方、後半期に法会調査や僧侶との面談、実地調査ができ、また本研究に関する貴重な資料(古写本)を見出し、これらは大きな成果となった。全体としては、当初の予定にやや遅れていると思われるが、研究の方向性を研究会を通じてあらためて見定めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ感染拡大により予定通りとはいかなかった東京文化財研究所への資料調査および各寺院への実地調査を、本年度はより計画的に進めることによって、確実に研究を前進させる。東大寺・圓教寺との連携は、1年目の2021年度に固めることができたので、調査を行うに支障はない。 また、異なる研究分野から多角的に議論することの有効性が明らかになったので、1年目と同様、研究会(対面・オンラインともに)を行っていく。
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