研究課題/領域番号 |
21H00509
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
長谷部 剛 関西大学, 文学部, 教授 (50308152)
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研究分担者 |
遠藤 徹 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10313280)
山寺 三知 國學院大學北海道短期大学部, その他部局等, 教授 (70352507)
山寺 美紀子 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (90601097)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 敦煌琵琶譜 / 敦煌曲子詞 / 林謙三 |
研究実績の概要 |
本研究は、林謙三の東アジア音楽研究資料の整理・研究を主軸におき、「敦煌歌辞はいかなる音楽によって歌唱されたのか」・「その歌謡と音楽はどのように日本に伝来し定着したのか」という二つの問題に取り組むものであるが、後者については、論文「日本所存中国音楽文学資料之研究」(長谷部剛,「南洋中華文学与文化学報」第3号)を発表し、その実態を明らかにした。この論文は、唐代の文人政治家、李徳裕のもとにあった琵琶奏者が、日本の遣唐使、藤原貞敏が琵琶の教習を受け、それの教習の結果が「琵琶諸調子品」や「三五要録」といった日本の琵琶古譜に記録されていることを明らかにしたものである。その際には中国の音楽資料『楽府雑録』と日本伝来の音楽資料を結びつけるなど、新しい研究手法を用いた。これによって、西域起源の燕楽調が日本雅楽の唐楽調として定着してゆく過程がいっそうはっきりした。 また、敦煌曲子詞の解読研究を続け「雲謡集雑曲子」(S.1441,P.2838)の「浣渓沙」「柳青娘」「内家嬌」の訳注を完成させた。とくに「内家嬌」は俗楽二十八調との関係を示す重要な曲子であり、これによって、唐代の韻文学と音楽との関係が具体的に明らかになった。 林謙三旧蔵東アジア音楽研究資料のデジタル・アーカイブズ化推進のために、9月と3月の二回、同資料の調査・整理を行った。結果としては敦煌琵琶譜の解読研究をめぐる林謙三の、Chao Pian Rulanとの交渉を記述し、さらに「新撰龍吟抄要録高麗曲」「博雅笛譜」などのデジタル化を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度も新型コロナ・コロナウィルス感染拡大のため、研究分担者の関西来訪および、研究代表者の海外渡航が制限されたため。
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今後の研究の推進方策 |
以下の三点を重点的に推進する。[1]「敦煌琵琶譜」研究史の記述、これについては、香港中文大学図書館蔵のChao Pian Rulan資料を閲覧することで、いっそうの進展を図る。次に、[2]敦煌曲子詞訳注稿の作成。「雲謡集雑曲子」(S.1441,P.2838)の「拝新月」「抛毬楽」「喜秋天」の訳注を完成させ、「雲謡集雑曲子」全首の訳注稿をまとめる。そして、[3]林謙三旧蔵東アジア音楽研究資料のデジタル・アーカイブズ化推進。資料に整理番号を付け、デジタル化の分量を増やす。
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