研究課題/領域番号 |
21H00519
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今橋 映子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20250996)
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研究分担者 |
波潟 剛 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (10432882)
佐々木 悠介 東洋大学, 国際学部, 准教授 (20750730)
井上 健 日本大学, 国際関係学部, 研究員 (30121867)
佐藤 光 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80296011)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 比較文学 / 比較文化 / 比較芸術 / 比較思想 / 理論ハンドブック / シラバス調査 |
研究実績の概要 |
2021年度は、5名のメンバーで計5回の研究会を開き、順調に研究を推進することができた。 1)比較文学比較文化理論の再構築のために、重要項目を洗いざらい整理し、本研究期間中に刊行予定の初学者向けハンドブックのために、内容、章立て、項目数、項目の重要度判別、書誌などを具体的に決定させた。また執筆者数十名の候補選定も行った。同時に同ハンドブックの出版先を確定させることができた。2)理論の再構築のために、隣接他分野(翻訳研究、文学理論研究、英米文学研究、美学研究など)における理論再構築のあり方や、それによって生まれた一般向けの概説書、辞典、事典、ハンドブックなどがどのように編集されているかについての検討を共同でおこなった。3)比較文学比較文化という学問が、実際の大学や大学院の現場でどのように「教育」されているかに焦点を当て、その現状を調査するために、社会調査の実施準備を行った。具体的に全国の大学の2021年度シラバスを調査対象として、網羅的調査を実施中である。4)また3)と並行して、全国の大学・大学院で比較関連授業を担当している教員に向けて、グーグルフォームを利用したアンケート調査を大規模に行うことを企画し、準備がほぼ整った。5)上記2)のハンドブック刊行の折には、本科研費関連ホームページを立ち上げ、そこにより専門的情報を発信すべく、準備を開始した。とりわけ専門家に向けての書誌情報を完全、最新にするための方策を共同で検討している。 上記のように、最終的な研究成果のための重要な第一段階をクリアすることができた。その一端を、研究代表者(今橋映子)が2022年3月に口頭発表して公に討議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
何よりも出版不況の折にも関わらず、本研究課題を一般知に還元するためのハンドブックの出版元が決定できた。そのために、比較研究理論の内容について一挙に眺望を開き、細部の項目まで決定できるに至ったことは大きい。2022年度に数十名の執筆者に依頼するための第一段階をクリアすることができた。また、そうした共同研究の中で、全国の大学・大学院における教育状況についての調査を行うという計画が浮上し、それを本格的な社会学的調査(量的および質的調査の双方)で実施することになった。その準備段階もほぼ終えることができている。2022年度に一挙に質的調査を実施する予定となっている。 こうした全ての作業を効率的に行うことが出来たのは、分担者全員の研究推進の力はもちろんのこと、それにふさわしい若い専門研究者の協力が得られたことも大きい。研究協力者は以下の通り: 西田桐子(和光大学専任講師)=シラバス網羅的収集調査 松枝佳奈(九州大学専任講師)=書誌情報の再構築 町田樹(國學院大学助教)=比較文学比較文化教育に関する社会学的調査
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今後の研究の推進方策 |
1)2021年度中に、理論的ハンドブックの出版社の決定と内容項目の決定を行ったので、今年度前半で、約50名におよぶ執筆者への依頼を行う。2)ハンドブックの内容を充実させるために、大学(院)における比較文学教育の実態と問題点を、社会学的な質的調査の方法も援用して洗い出す。すでに膨大なデータを2021年度に収集したので、今年度は、その中から統計調査が可能な人選をし、5-7月に質的調査を実施し、その結果をまとめる。9月頃にこれについての共同発表を行う予定。3)本申請研究メンバーの知的ネットワークにより、各自の専門ではカバーできない領域の研究者を招聘し、コロキアム(オンラインの可能性もあり)を開催する。2022年度はとりわけ、各国比較文学史の専門家を招聘することを考えている。4)本科研費を紹介するホームページの基盤を、2021年度に整理したので、今年度は先ず、初学者のための「比較文学比較文化研究書誌」の改訂版を公開すべく、方策を立てる。研究代表者はすでに2006年にウェブ上の書誌を以下の様に編纂し、公開している。http://www.todai-hikaku.org/bibliography/bibliography.php すでに15年前の情報であるため、今回この情報をアップデートすると共に、然るべき文献には要旨を付けて「批評的書誌」として大幅に発展させ、初学者にも使いやすいものへと発展させる。
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