研究課題/領域番号 |
21H00527
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
藤井 洋子 日本女子大学, 文学部, 教授 (30157771)
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研究分担者 |
井出 祥子 日本女子大学, 文学部, 研究員 (60060662)
片桐 恭弘 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (60374097)
堀江 薫 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (70181526)
植野 貴志子 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (70512490)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 解放的語用論 / インターアクショナル・モダリティー / 場の語用論 / ドイツ語データ収集・文字化 / 異言語・異文化比較対照研究 / Gunter Project |
研究実績の概要 |
本研究の目的の一つである「場の語用論の中でのインターアクショナル・モダリティ研究の理論の構築」の基盤となるデータとして、これまでは英語が唯一の西洋語であったが、令和4年度は、令和3年度にコロナ禍で収集が不可能だった異言語比較対照研究のための映像データMister O Corpusに7言語目としてドイツ語話者の映像データを収集し、文字化を行った。文字化に予想以上に時間がかかったため、実際のデータ分析からインターアクショナル・モダリティーを表す言語現象の抽出やその頻度などの、より精緻な分析は、令和5年度に行うこととなった。 「場の語用論」理論をより信頼性の高いものにするため継続して検討を行った。特に、場の語用論を共に研究している海外共同研究者を交えての遠隔による研究会などを通し、非西洋の言語・コミュニケーション研究を基盤にする 「場の語用論」理論を世界の語用論理論の中に明確に位置づけるべく検討を重ねた。 研究成果の発信として10年来の計画であるGunter Project では、John Benjamins社よりCulture and Language Useシリーズの1巻として英語の書籍 Emancipatory Pragmatics: Cross-cultural approaches to pragmatics incorporating the concept of Baの執筆、出版を目指し、これまでの比較的緩やかなテーマから、本研究プロジェクトの目的を直接反映した「解放的語用論」ならびに「場の語用論」に特化した論文を掲載することを確認し、それに基づき、論文執筆者の選抜を行う方向で、これまでの路線の修正を行った。今後はできるだけ早い時期に論文執筆依頼をし、本の出版を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1. まだコロナ禍が完全に解消されていなかったが、令和4年度後半には海外からの留学生の数も増え、日本にいながらにして、ドイツ語母語話者を集め、ドイツ語のデータ収集を実行することができたのは大きな収穫であった。 2. しかしながら、ドイツ語データ収集後の文字化に時間がかかり、データ分析への着手が予定より遅れた。従って、インターアクショナル・モダリティ研究にドイツ語のモダリティーの言語現象を反映させるまでに至っていない。 3. Gunter Project ー研究成果の発信として10年来の計画である、John Benjamins社よりCulture and Language Useシリーズの1巻として英語の書籍 Emancipatory Pragmatics: Cross-cultural approaches to pragmatics incorporating the concept of Baの執筆、編集作業が予定より遅れている。「研究実績の概要」に記述した通り、令和4年度では、当初の予定よりさらに厳密に書籍の主旨に適合した論文集を掲載することに路線の修正を行ったが、論文執筆者への「正式」依頼を行うことができなかった。従って、予定していた書籍のシリーズ主席編集責任者と海外の編者との編集会議開催までに至っていない。 4. 解放的語用論としての「場の語用論」については、本研究グループでの基盤研究補助金の過去の研究から継続的に研究を行っている。本研究グループを始めとして長年、共同して場の理論を追究している研究グループと共に、海外の共同研究者を交えての遠隔による研究会などに参加することができ、「場の語用論」構築への追究を深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.ドイツ語データの分析を行い、インターアクショナル・モダリティ研究において、日本語・英語・韓国語・タイ語・中国語・ドイツ語の言語間対照研究を行う。 2.研究成果の発信とする英語の書籍の執筆、編集を速やかに行う。 3.「解放的語用論」としての「場の語用論」研究を更に深め、2年に1度開催される国際語用論学会にて、発信を続けていく。また、2に記した通り、書籍にても国際的に発信を行う。
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