研究課題/領域番号 |
21H00534
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小野 正樹 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10302340)
|
研究分担者 |
Chauhan Anubhuti 筑波大学, 人文社会系, 助教 (00872839)
山下 悠貴乃 十文字学園女子大学, 教育人文学部, 講師 (10845457)
牧原 功 群馬大学, 国際センター, 准教授 (20332562)
文 昶允 筑波大学, 人文社会系, 助教 (60845030)
Vanbaelen Ruth 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70514016)
伊藤 秀明 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (70802627)
山岡 政紀 創価大学, 文学部, 教授 (80220234)
朱 ヒョンジュ 目白大学, 外国語学部, 専任講師 (90822750)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 日本語スタンダード / Can Doリスト / わかりやすい日本語 / 日本語らしさ / 数値化 / 教材化 |
研究実績の概要 |
初年度は、3つの課題に取り組んだ。(課題1) Council of Europeの「Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment(CEFR)」に基づき、文脈化された発話・会話を収集し、データベース化して、学習・教育・研究に役立てるように工夫する。(課題2)母語話者、非母語話者に、(目標1)で収集したデータの日本語らしさとわかりやすさの指標を示す。(課題3)成果物として、(課題1)を活かした特定の教科 書に準拠しない汎用性、文型から離れた機能性の観点からのオンライン教材開発を行う。 (課題1)として、「JF日本語教育スタンダード」の生活日本語のコミュニケーション活動の中から、A1レベルの「やりとり」を抽出し、大学生のコミュニケーションを想定して、Can-Doの記述と、それを文脈化したデータ収集を、アイテムライターを募集して作成した。(課題2)については、日本語らしさとわかりやすい日本語について、前者は伝統的な日本語、慣習化している日本語などの考え方がある。後者には、日本語はどこがわかりにくいのか、どうすればわかりやすくなるのかという社会実装のための日本語研究がある。両者は対立するもののように思われるが、現代日本では両立させるべきと考えるのが、本研究の出発点で、発話の難易度、使用度、理解度、共感度のパラメターを立て、評価測定計算式を組み立て、数値化を図った。(課題3)については、国内外の大学生の日本語学習者を対象として、コミュニケーション目的に合った教育内容・教育方法の解決のために、学習者ベースのオンライン教育コンテンツ「にほんごアベニュー」の開発に取り組んだ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で記した3つの課題について、(課題1)と(課題3)を融合させ、教材化が達成できた。具体的には、日本語のCan-Doの記述について、CEFRに基づくA1レベルを完成させた。さらに、そのCan-Doに基づく話例をかなりの数準備できた。両者を、学習者ベースのオンライン教育コンテンツ「にほんごアベニュー」として教材化した。「話者」「場所」「場面」「はたらき」の情報によって文脈化された発話・会話をデータベース化し、学習・教育・研究に役立てるように工夫したもので、特定の教科書に準拠しない汎用性、文型から離れた機能性重視のオンライン・日本語教育コンテンツとして、公開準備が整った。(課題2)については、依頼の発話機能を例に数値化の試みを示すことができ、多様性を示す計算式を組み立てることができた。(課題2)は、シンポジウム「未来志向の日本語教育」(2021 年 8 月 6 日)、「日本語語彙辞書を利用した新たな研究」(2021 年 11月 13 日)、第14回日本語コミュニケーション研究会(2022 年 3 月 16 日)の3回開催し、他の研究者の意見を仰いだ。(課題3)は、筑波大学グローバルコミュニケーション教育センター日本語・日本事情遠隔教育拠点から6月に公開を行う見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の発展を行う。スタンダーズ記述と教材化については、初年度に完成させたものを、関係学会などで発表し、専門家の評価を仰ぎながら、精度を高める。日本語らしさとわかりやすさについては、既存コーパスや測定評価システムの利用を考えながら、本研究で収集しているデータをもとに、数値化への利用が可能かの検討を開始する。(課題1)Can-Do記述について、CEFRに基づく「JF日本語教育スタンダード」A1レベルが、大学生にどれほど現実場面で必要かは未解決である。また、A1レベルの到達目標を、日本語レベルの異なりで、どのような日本語でコミュニケーションが達成できるかの考察を行う。さらに、A2レベルのCan-Doの記述と、文脈化したデータ収集を行う。(課題2)については、数値化の妥当性を検証し、特にパラメターの設定、依頼以外の発話機能別の基礎データ作成を行うことで、日本語らしさとわかりやすさの指標作成を行う。わかりやすい日本語とは何かを追求するためのデータ収集とデータ分析方向を追究する。(課題3)については、日本語学習者、日本語教師に使いやすいかのフィードバックを受け、教育コンテンツの性能向上を図る。
|