研究課題/領域番号 |
21H00550
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
鈴木 祐一 神奈川大学, 国際日本学部, 准教授 (10756563)
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研究分担者 |
Jeong Hyeonjeong 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60549054)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 第二言語習得 |
研究実績の概要 |
コミュニケーション能力を支える言語知識の獲得には、繰り返し練習(プラクティス)が必要不可欠である。しかし、プラクティスによってどのように、コミュニケーション能力を支える認知神経基盤が変容するかは明らかになっていない。本研究の目的は、英語学習の介入トレーニング研究を行い、脳活動をfMRIで計測し、明示的知識(海馬・内側側頭葉)と暗示的知識(大脳基底核など)の神経基盤の変容プロセスを解明することである。そして、学習者の明示的・暗示的適性という個人差の特徴によって、プラクティスの方法を最適化できる可能性を探ることにある。昨年度行った本実験は、以下の通りである。英語学習者を対象に、英語の文法構造に焦点を当てながら2週間に渡りスピーキング練習してもらい、コミュニケーション能力を支える明示的・暗示的知識を司る神経基盤がどう変容するかを調査した。事前テストではMRI内での英語スピーキング課題や明示的・暗示的適性を測定した。その後、オンラインでの英語スピーキング学習を行ってもらった。この英語スピーキング学習では、個人で特定の文法構造に焦点を当てながら、できるだけ正確にかつ流暢に話すために繰り返し練習をしてもらうことで、文法処理が自動化するようなタスクを設定した。その後、事後テストでMRI内での英語スピーキング課題を実施した。脳解析の結果、予測通りに、事前テストでは明示的知識を司る海馬の活性化が見られたが、事後テストでは暗示的知識に関連する被殻が活性化していることが確認できた。さらに、事後テストでは母語でのスピーキング技能を司る脳領域の活性化が見られた。本結果は、明示的な文法知識を繰り返し練習することによって、スピーキングスキルに活用できる形で脳内で表象されている証拠になる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スピーキングに関する行動・脳データおよび学習者に関する個人差要因に関するデータを収集し、行動データのコーディング・分析は完了し、脳データ解析も行うことができた。その一部成果をアメリカの国際学会で発表し、他の研究者からフィードバックを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本実験では統計分析に必要なサンプル数を確保していたが、様々な技術的な理由によって、10名ほどの脳解析データを統計分析にかけることができなかったことが判明した。また、個人差分析の結果、安定した結果を得るためには、サンプル数を増やす必要性がある。そのため、追加のデータ収集を行った上で、行動データの分析および脳データ解析を完遂する。そして、最終的な成果を学会や論文として発表する予定である。
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