研究課題/領域番号 |
21H00563
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小関 悠一郎 千葉大学, 教育学部, 准教授 (20636071)
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研究分担者 |
宮間 純一 中央大学, 文学部, 准教授 (10781867)
今村 直樹 熊本大学, 永青文庫研究センター, 准教授 (50570727)
天野 真志 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60583317)
高槻 泰郎 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70583798)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 富国安民 / 富国強兵 / 政治意見書 / 政治空間 / 米沢藩 / 秋田藩 / 熊本藩 |
研究実績の概要 |
本年度は、①米沢藩・秋田藩・熊本藩等に関する史料調査を実施するとともに、②米沢藩・熊本藩で書かれた政治意見書類の史料翻刻・研究データ作成を進め、③それらの成果も踏まえた、近世近代の政治意見書・政治意見空間に関する研究会を実施した。 ①に関しては、担当内容に沿って代表者・分担者がそれぞれのフィールドで史料調査を実施した。調査は、近世・近代の「富国」論の意義を理解するために必要な史料として、各藩の藩士層の意見書類、商人らと藩役人らの間で交わされた書簡(近世の政治論・政治意見の特色を反映するものとして)、演説原稿(近代にかけての政治意見の変容を視野に)等を収集した。 ②に関しては、米沢藩・熊本藩等に関する史料の翻刻・研究データ作成を進めた。このうち、熊本藩に関しては、以下の③の成果とも関連して、代表者・分担者が史料翻刻・解説執筆を行った、熊本大学永青文庫研究センター編『永青文庫叢書 細川家文書 意見書編』(吉川弘文館、2022年)として刊行された。米沢藩・秋田藩等に関する意見書等、商人の書簡等の史料についても翻刻データを蓄積できた。 ③について本年度は、2回のオンライン研究会を実施し、うち1回は、永青文庫叢書研究会と合同で実施した。研究会を通して、熊本藩における各時期の「上書」の全体像、秋田藩域における近世・近代の政治意見空間のあり方が明らかになった。 以上による成果は、小関悠一郎「近世日本の政治理念とその変容 ―「仁政」・「富国」理念を中心に―」(第50回明治維新史学会創立40周年記念大会 シンポジウム、2021年6月13日、オンライン)などの学会発表により積極的に発信するとともに、今村直樹・小関悠一郎編『熊本藩からみた日本近世:比較藩研究の提起』(吉川弘文館、2021年)、天野真志編著『石黒織紀 膺懲稗史』(国立歴史民俗博物館、2022年)等の書籍にも反映させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
史料調査について、共同調査は実施できなかったものの、代表者・分担者で個別に必要な調査を実施し、研究に必要な史資料の収集を進めることができた。また、史料翻刻・データ作成に関して、作業を順調に進め、関係者で共有するなど、研究の基盤を整えることができた。加えて、本年度に開催した研究会を通じて、近世・近代における「富国」論の意義を理解するにあたって必要な政治意見書等、さらにそうした政治意見書等がやりとりされる政治意見空間のあり方の考察など、研究の幅を広げる論点を見出すことができた。これらの成果の一部は、著書・雑誌論文・学会発表により、公表することを得た。
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今後の研究の推進方策 |
代表者・分担者共同での史料調査について、本年度は実施できなかったが、調査実施の態勢は整っているため、今後、より計画的に実施できるよう、調整を進める。また、史料翻刻・データ作成を一層進め、広く利用可能な内容とするため、史料集の作成・刊行を視野に入れて、作業を進めることとする。引き続き研究会を定期的に開催して、研究の深化・発展を期すとともに、他のプロジェクト等と連携した企画等についても検討する予定である。
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