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2021 年度 実績報告書

20世紀後半の社会運動の形成-展開過程の解明に向けた領域横断的な資料学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21H00569
配分区分補助金
研究機関長野大学

研究代表者

相川 陽一  長野大学, 環境ツーリズム学部, 教授 (90712133)

研究分担者 新井 勝紘  専修大学, その他部局等, 参与 (40222707)
原山 浩介  日本大学, 法学部, 教授 (50413894)
白井 哲哉  筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70568211)
西阪 仰  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (80208173)
田中 晋平  日本大学, 芸術学部, 研究員 (90612870) [辞退]
秋山 道宏  沖縄国際大学, 総合文化学部, 准教授 (90813767)
今井 勇  神奈川大学, 法学部, 非常勤講師 (90451674)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード現代史 / 社会運動 / アーカイブズ / オーラルヒストリー / 成田空港
研究実績の概要

本共同研究は、1960年代から1970年代の日本で展開された住民運動のなかでも、最大規模で長期に持続した三里塚闘争(成田空港建設への反対運動)について、当初は局地的かつ短期に収束する可能性もあったこの運動に地域外から多様な支援運動が合流し、1970年代には全国レベルで支援運動が展開された要因と過程を一次資料を用いて解明することを主な研究目的とする。その際、三里塚闘争に関する多様な文書資料および聞き取り資料を分析しながら、記録映画制作にかかる音声や動画などの視聴覚資料も駆使して歴史学、アーカイブズ学、映画学、社会学の領域横断型の共同研究を推進する。文書資料と視聴覚資料の相互補完的な研究手法の確立によって戦後史研究に新たな方法的視座を提供することが本共同研究の研究方法論の面における研究目的である。
以上の研究目的を設定し、初年度となる2021年度には、限られた研究期間内に研究目的を達成するために、研究組織を2つの重点領域と1つの副次領域の計3グループに分け、研究領域は、A文書資料研究領域(重点領域)、B視聴覚資料研究領域(重点領域)、C地域資料収集領域(副次領域)の3領域を設定した。この組織編成に基づき、各領域内で研究分担者を中心に研究対象とすべき重要資料の選定等を行い、資料分析および資料分析の素材となる資料のデジタル化を進めた。具体的には、研究組織員の全員で開催する全体会議と研究報告会を定例開催し、計4回の全体会議と計5回の研究報告会を開催した。そして研究対象とする資料を整理して研究活用可能な状態とする資料整理調査会を計3回開催した。新型コロナウイルス感染症の流行により全体会議と研究報告会はすべてオンライン方式での開催を余儀なくされたが、資料整理調査会は開催回数と参加者数を絞り込んで成田空港空と大地の歴史館にて開催した。以上の研究経過等をもとに学術論文と学会発表等を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は二つある。第一の目的は、三里塚闘争(成田空港建設への反対運動)および地域外からの多様な支援運動の展開要因と過程を解明することである。三里塚闘争の歴史的推移に関する実証研究は、日本史学のみならず、隣接分野も含めて蓄積が少なく、特に支援運動の形 成要因と展開過程は未解明である。本研究は、これらの歴史的過程を一次資料により実証的に明らかにすることを目指す。第二の目的は、文書資料と視聴覚資料の相互補完的な研究手法を確立することである。関連するアーカイブズには未整理の膨大な文書資料が残されているのみならず、音声や動画等の視聴覚資料もあり、領域横断型の共同研究で、これらを活用し、文書資料と視聴覚資料の相互補完的な研究手法を確立することを目指す。
初年度の当共同研究は、第一の目的について、主として全体会議と研究報告会の継続開催を通して、既存の資料目録等から重要資料を選定し、資料整理調査会において重要資料へのアクセスを実施することができた。また、第二の目的については、2022年度から本格的に視聴覚資料にアクセスするための基礎条件である資料のデジタル化を実施することができた。以上をふまえて学術論文と学会報告等を実施し、多分野の研究者からのコメントの中で本研究が調査地域における戦後史の解明と並んで、国際的にみても重要な研究テーマに取り組んでいることが明らかになった。以上のように、本研究は、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う資料整理調査会の実施回数や規模の縮小をはじめとした困難に直面しながらも、2021年度に計画した内容を実施してきた。以上の理由から、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。

今後の研究の推進方策

2021年度の研究成果を展開させるために、成田空港空と大地の歴史館や千葉県立中央図書館等における資料整理調査会を着実に継続開催するとともに、A文書資料研究領域(重点領域)、B視聴覚資料研究領域(重点領域)、C地域資料収集領域(副次領域)の3領域で既存目録や資料整理調査会で作成した目録等に基づいて、本共同研究で重点的にアプローチする資料を選定し、全体会議や研究報告会での議論をもとに、2022年度の資料整理調査会において重点的に閲覧をおこなうとともに、研究対象資料を研究データ化するために翻刻等の作業も必要に応じて進めていく。また、2021年度に実施した重要資料のデジタル化の過程で、目録未作成の視聴覚資料がまとまって発見されたことから、研究活用を念頭に置いた視聴覚資料のデジタル化も継続し、資料整理調査会においてアプローチしていく。
以上の推進方策に基づいて、三里塚闘争における運動規模の拡大要因を実証的に解明しながら、領域横断的な研究推進によって文書資料と視聴覚資料の相互補完的な研究手法を確立する本共同研究の成果を国内外に発信していく。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] 「産消提携」の論理:「産直」を問い直す糸口として2022

    • 著者名/発表者名
      原山浩介
    • 雑誌名

      生協総研レポート

      巻: 96 ページ: 58-73

  • [雑誌論文] 地方都市における自主上映者の肖像:長野県松本市における映画上映運動の個人資料を手がかりにして2021

    • 著者名/発表者名
      相川陽一
    • 雑誌名

      社会運動史研究

      巻: 3 ページ: 51-71

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新刊紹介 ネットワーク・市民アーカイブ出版プロジェクト編『ようこそ!市民アーカイブ多摩へ――市民活動の記録を残す運動のあゆみ』ネットワーク・市民アーカイブ(2020年3月刊行)2021

    • 著者名/発表者名
      相川陽一
    • 雑誌名

      人民の歴史学

      巻: 228 ページ: 31-34

  • [雑誌論文] 社会運動とメディアの連環:1960年代~70年代の新左翼系雑誌と編集者に着目して2021

    • 著者名/発表者名
      秋山道宏・那波泰輔・韓昇熹
    • 雑誌名

      社会運動史研究

      巻: 3 ページ: 137-157

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 遺跡を尋ねて 第Ⅴ期(第5回)長崎 原爆遺跡をたどる2021

    • 著者名/発表者名
      原山浩介
    • 雑誌名

      学士会会報

      巻: 2021(6) ページ: 86-92

  • [雑誌論文] 社会運動の息遣いを伝える―立教大学共生社会研究センターの経験から―2021

    • 著者名/発表者名
      平野泉
    • 雑誌名

      歴史評論

      巻: 857 ページ: 96-103

  • [学会発表] Ideas Distributed among Multiple Voices: Discussions in Protests against the Construction of Narita International Airport2022

    • 著者名/発表者名
      Aug Nishizaka, Masafumi Sunaga, & Kotaro Sambe
    • 学会等名
      American Sociological Association 2022 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 食をめぐる「平等」の変容:帝国/国家のなかのコメを考える2022

    • 著者名/発表者名
      原山浩介
    • 学会等名
      日本農業史学会シンポジウム
  • [学会発表] Invoking the third-person perspective: Distribution of deontic responsibilities in the construction of an assertion2022

    • 著者名/発表者名
      Satomi Kuroshima
    • 学会等名
      American Sociological Association 2022 Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 北総地域の近現代史における開発と社会紛争の展開:運動史研究と資料保存の交点を探る2021

    • 著者名/発表者名
      相川陽一
    • 学会等名
      第11回「災害文化と地域社会形成史」研究会(JSPS科学研究費補助金特別推進研究:地域歴史資料学を機軸とした災害列島における地域存続のための地域歴史文化の創成)
    • 招待講演
  • [学会発表] 成田空港建設をめぐる紛争史に向き合う2021

    • 著者名/発表者名
      相川陽一
    • 学会等名
      2021年度 梨の木ピースアカデミー「誰ひとり取り残さない環境論 Part3 ―生きられた経験・地域の歴史を未来に生かす―」(コーディネーター:松村正治)
  • [学会発表] 京葉工業地域の造成と千葉市域の漁業2021

    • 著者名/発表者名
      森脇孝広
    • 学会等名
      大人が楽しむ科学教室(千葉市科学館主催)
  • [図書] 「日本復帰後沖縄の「豊かさ」をとらえる視座:社会経済変容と保守系総合雑誌に着目して」(pp.93-129), 平良好利・高江洲昌哉編著『戦後沖縄の政治と社会 : 「保守」と「革新」の歴史的位相』(共著)2022

    • 著者名/発表者名
      秋山道宏
    • 総ページ数
      315
    • 出版者
      吉田書店
    • ISBN
      978-4905497998
  • [図書] 「京葉工業地帯の造成と漁業のゆくえ」, 千葉市史編集委員会編『千葉市歴史読本:史料で学ぶ千葉市の今むかし』(共著)2022

    • 著者名/発表者名
      森脇孝広
    • 総ページ数
      220
    • 出版者
      千葉市
  • [図書] 『つながる沖縄近現代史:沖縄のいまを考えるための十五章と二十のコラム』2021

    • 著者名/発表者名
      前田勇樹・古波藏契・秋山道宏編
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      ボーダーインク
    • ISBN
      978-4-89982-416-9
  • [図書] 「戦後地域社会の軍事化と自治体・基地労働者」(pp.219-241), 吉田裕編『戦争と軍隊の政治社会史』(共著)2021

    • 著者名/発表者名
      森脇孝広
    • 総ページ数
      384
    • 出版者
      大月書店
    • ISBN
      9784272521173

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公開日: 2023-12-25  

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