研究課題/領域番号 |
21H00578
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
林 英昭 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (70409671)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 建築史 / 東洋建築 |
研究実績の概要 |
本研究は近世ベトナムにおける越族文化の南北分断について、具体的な建築を通じて解明することを目的とする。ベトナム越族の建築技術は南北の相違が顕著であるが、それらを具体的且つ網羅的に比較分析するための建築資料が決定的に不足している。本計画はその不足を補うため、ベトナム全土で実測調査を行い、実測図面集を主とした建築史研究の基礎資料を作成する。補助事業期間5年間の研究計画と方法については、研究経費の大幅な減額を勘案し本研究計画の要点となる遺構の実測調査および聞き取り調査の目標件数を研究計画調書中に記載した対象地域「計12地域」から「計11地域」とし、伝統木造ディン「40件程度」から「26件」へと当初計画を変更して実施する。 調査件数の地域別の内訳は、北部は二地域で計6棟、中部は七省で計15棟、南部は二省で計5棟の実測調査を行う予定である。実測調査は基本的な図面のほか、柱転び、登り梁の詳細図等を実測し、フエ周辺域の過去のディンの調査との比較分析に足る図面を作成する。 本研究は2021年度のコロナ禍の最中に採択され、初年度は海外渡航ができない状況であったために、現地調査開始が一年間遅れたものの、2022年度中に当初予定の二カ年度分の調査をほぼ完了し遅れを取り戻した状況にあった。2023年度は歴史的な円安の進行により、当初予算計画が急激に逼迫してきており、当初計画に増して現地調査を前倒しして実施する必要があった。 そのような状況の中で、2023年度は二地域(バクジャン省・カインホア省)について調査候補の踏査を行った。また前年度に踏査を行い、調査候補を選定済みであった二地域(ハノイ市・クアンナム省)について計9棟の遺構の実測調査を行った。一部に補足調査が必要な事例も生じているが、当初計画の調査総数計26棟のうち、前年度と合わせて計24棟の調査を終え、おおよそ計画通りに進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画の調査棟数計26棟のうち、計24棟でおおよその終了し、当初計画以上の調査数に到達することができている。一部に補足調査が必要な事例も生じているが、少なくともコロナ禍によって停滞した現地調査の遅れは、十分に取り戻すことができたと考える。歴史的な円安の進行が最大の懸念事項である。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の調査棟数計26棟のうち、計24棟を調査し、当初計画以上の調査数に到達することができている。一部に補足調査が必要な事例も生じているが、計画の推進状況に大きな問題は無い。2024年度は、ここまでの実測調査結果のまとめと分析および補足調査に当て、残り2棟の調査実施は通貨為替の状況を見ながら判断する見込みである。
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