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2023 年度 実績報告書

エチオピアにおける郷土史・地方史の体系的収集・分析を通した多元的歴史認識の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H00579
配分区分補助金
研究機関南山大学

研究代表者

石原 美奈子  南山大学, 人文学部, 教授 (20329741)

研究分担者 吉田 早悠里  名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20726773)
眞城 百華  上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (30459309)
大場 千景  大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 客員研究員 (90637688)
松波 康男  明治学院大学, 社会学部, 准教授 (90811125)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードエチオピア / ティグライ / オロモ / ベニシャングール・グムズ / 郷土史 / 地方史 / 歴史認識
研究実績の概要

2023年度は、分担者はそれぞれの調査対象地域において、地方史・郷土史の収集・分析にあたった。
石原は、8月に協力者中村(南山大学院生)とともにエチオピアに渡航し、オロミア州ジンマ県および南西エチオピア諸民族州ベンチ・シェコ県に赴き、複数の古老を訪ねて回り、地方史に関する聞き取り調査を行った。デルグ政権期に反政府武装闘争を展開し、一時スーダンに避難した人物への聞き取り調査やベンチ社会の階層社会とキリスト教の受容に関する聞き取り調査を行った。吉田は、ジンマ県ゲラ郡のムスリム聖者が住まう村において、村落史に関する知識をめぐる世代差について8月ならびに12月に調査を実施した。眞城は、ティグライ戦争後1年が経過したティグライ州都メケレ市を訪問し、政党(TPLF)の資料館、博物館などの戦争による被害状況を確認した。また党による党史編纂のプロジェクトについてもインタビューを実施した。史料の翻刻や翻訳もすすめ、同史料を用いた論文執筆も実施した。松波は、前年度までの研究を継続し、エチオピアにみられる巡礼に焦点を当てた研究を進めた。2022年度に国際学会で口頭発表した内容に基づき、発展させた議論をJournal of Ethiopian Studies(アジスアベバ大学エチオピア研究所)に投稿するなどした。特にオロミア州およびベニシャングル・グムズ州においてみられる聖地への巡礼についてこれまでのフィールドワークのデータを用い、景観と巡礼者、宗教施設関係者らの相互関係を探究した。大場は、オロミア州バーレ県とボラナ県、アルシ県においてガダ・システムに関する調査を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

エチオピア北部のティグライ州での紛争がひとまず終結してからその西側のアムハラ州での紛争が始まり、同時にエチオピア西部ベニシャングル・グムズ州やオロミア州西部はオロモ解放軍など反政府組織が占領しており治安状況が改善しておらず、同地域での調査を予定していた分担者松波が調査に入れない状況が続いている。ティグライ州においても、昨年度同地域を調査対象としている眞城が州都メケレに調査に入ったが、短期間の滞在に終わっている。石原はオロミア州と南西エチオピア諸民族州での調査を順調に進めているが、調査の過程でジンマ大学のアーカイヴズ・センターに歴史的価値の高い行政文書群が保管されていることが判明し、同資料群の整理・分析の必要がでてきた。大場は、順調に調査を進めているものの、調査地域のオロミア州バーレ県で探しているアラビア語文献がまだ見つからず、探索中である。吉田は、調査地域のオロミア州ジンマ県ゲラ郡の集落において順調に調査を推進している。

今後の研究の推進方策

2024年度も引き続き、メンバーがそれぞれの調査地域に状況がゆるす限り渡航しながら調査研究を続ける。
石原は、ジンマ大学所蔵の行政文書の整理・分析に参加しながら、引き続きジンマ県と南西エチオピア諸民族州ベンチ・シェコ県での調査を続ける。眞城は、状況が改善に向かっているティグライ州メケレ市での調査を行う。松波は、ベニシャングル・グムズ州のなかで治安が安定している州都アソサ市に赴いて調査を行う。その他のメンバーに研究計画上の変更はない。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (5件) (うち招待講演 4件)

  • [学会発表] エチオピア都市における宗教空間の力学に関する一考察―ジンマ市の事例から―2023

    • 著者名/発表者名
      石原美奈子
    • 学会等名
      日本ナイル・エチオピア学会第32回学術大会
  • [学会発表] エチオピアの少数民族から見たデジタル・アーカイヴズとは?2023

    • 著者名/発表者名
      吉田早悠里
    • 学会等名
      名古屋大学文学部創立75周年記念講演会・シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Practices for passing on history and culture to future generations: the case of the Kafa zone in Ethiopia2023

    • 著者名/発表者名
      Yoshida, Sayuri
    • 学会等名
      2023 Annual International Conference of the Japan Society for Afrasian Studies
    • 招待講演
  • [学会発表] エチオピア・ティグライにおける女性兵士の経験-戦時下の女性解放と戦後への架橋2023

    • 著者名/発表者名
      眞城百華
    • 学会等名
      日本ナイル・エチオピア学会第32回学術大会公開シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 真実をあぶりだす技法:エチオピア南東部アルシ社会の慣習法廷における宣誓の役割2023

    • 著者名/発表者名
      大場千景
    • 学会等名
      南山大学人類学研究所第1回公開講演会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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