研究課題/領域番号 |
21H00590
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
前田 修 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20647060)
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研究分担者 |
小高 敬寛 金沢大学, GS教育系, 准教授 (70350379)
下釜 和也 千葉工業大学, 地球学研究センター, 研究員 (70580116)
早川 裕弌 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70549443)
内藤 裕一 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (10754848)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 考古学 / メソポタミア / 農耕集落 / 都市 / 前適応 |
研究実績の概要 |
当初の研究計画では2021年度の夏季にザグロス山麓のイラク・クルディスタン地域での考古遺跡発掘調査を予定していたが、長引く新型コロナウイルス感染症の影響で海外渡航が困難となり、フィールドワークは2022年度に延期せざるを得なくなった。そのため、2021年度予算の一部を2022年度に繰り越し、2022年度に計画していた発掘調査を拡大する形で2021年度分のフィールド調査を合わせて実施した。2022年8月~9月にイラク・クルディスタン地域スレイマニア県において土器新石器時代遺跡であるシャイフ・マリフ2号丘の発掘調査を実施し、紀元前6000年前後の文化層および土器、石器をはじめとする貴重な考古資料を得ることができた。 2021年度中は、海外調査によって新たな資料を得ることは叶わなかったものの、国内に収蔵されている考古資料の分析を進め、計画通りの成果を上げることができた。特にビチュメンの産地分析を進め、分析結果のデータを蓄積した。同時に、土器、石器の分析を進めるとともに、金沢大学および筑波大学において研究会を開催し、研究成果をまとめた。 さらに、2022年度の調査によって出土した考古資料の分析からは、シャフリゾール平原南部における土器新石器時代集落の地域性が確かめられた。これは、すでに調査がされている近隣のシャカル・テペ遺跡でも確かめられていた事実であり、当該地域における都市化直前の時期において、これまで知られていたザグロス山麓の新石器時代文化とは異なる物質文化を持つ文化伝統が存在したことがあきらかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響でフィールドワークをおこなうことができなかったため、予算の一部を繰り越して2022年度に発掘調査を実施した。当初の調査計画を大きく見直すことになったが、2021年度と2022年度の2年間に計画していた調査をまとめて実施することができた。これにより、結果として研究期間1年目および2年目に実施予定であった研究は、当初の研究計画通りに成果を上げることができた。さらに、発掘調査の実施によって、今後の研究に必要な考古資料を十分に得ることができている。研究組織内のメンバーで分担して実施している土器、石器の分析、黒曜石の産地同定分析、放射性炭素年代測定、地理情報分析もすべて予定通り進んでおり、順調である。 研究分担者らと研究会を実施することができたほか、研究成果の公表も予定通り進んでおり、学会発表をおこなうとともに学術雑誌に論文を投稿し研究成果を公表することができた。イギリスの研究者との共同研究の成果は、国際学会で発表し、現在は、学術雑誌に投稿する共著論文を執筆中である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施できなかった研究に関しては、2022年度の研究によってすべてカバーすることができ、研究期間1年目、2年目に予定していた研究内容は十分に達することができている。今後、3年目、4年目の研究では、当初の計画通り、イラク・クルディスタン地域での土器新石器時代遺跡の発掘調査を継続し、出土考古資料の分析を中心に研究を進める。発掘調査では、シャイフ・マリフ2号丘の調査は本年度の調査でおおかた終了したため、隣接するシャイフ・マリフ1号丘の発掘を実施する。8月から9月にかけて調査を実施し、2号丘と同時期の文化層を検出し物質文化の様相をあきらかにする。考古資料の分析も継続して実施し、研究成果を順次公表する。 また、地理情報分析にさらに力を入れるため、熱赤外(温度)センサを備えたドローンを購入し、通常の写真測量に加えて、地表温度の空間分布撮影をおこなうことで、地表下の埋没物の違い、地下水や土壌湿度の違いなどを検出することを試みる。 マンチェスター大学の研究者との黒曜石産地同定の共同研究も継続して進めるとともに、ビチュメンの産地同定分析については、これまでの成果を研究論文にまとめる。
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