研究課題/領域番号 |
21H00602
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 天理大学 |
研究代表者 |
小田木 治太郎 天理大学, 文学部, 教授 (90441435)
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研究分担者 |
廣川 守 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 館長 (30565586)
菊地 大樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (00612433)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 中国長城地帯青銅器文化 / 中国北方青銅器・オルドス青銅器 / 漢代諸侯王墓・列侯墓 / 京都大学総合博物館 / 蛍光X線分析(XRF) / フォトグラメトリ(SfM-MVS) |
研究実績の概要 |
今年度の研究実施計画には、①漢における北方起源の器物・文様のデータベース作成、②中国・徐州博物館での北方起源資料の調査、③国内の関連資料の調査研究を上げた。 ①は、事例が報告されている文献を収集し、必要な部分(図・写真)をスキャンしてデジタル・データ化し、整理した。すでによく知られるもののほか、とくに刊行されたばかりの『西豊西岔溝』には多くの情報があり、それに注力した ②にはCOVID-19の影響がひびいた。本年度12月に中国のゼロコロナ政策は解除されたが、日本からの渡航が極めて困難な状況は続き、計画していた徐州博物館での資料調査は断念せざるを得なかった。繰り越し期間に入り、ようやく中国渡航が実現し、研究協力者の西北大学・羅ホウ氏および復旦大学の秦小麗氏と下記④を進めた。また陝西考古博物館、陝西歴史博物館、寧夏回族自治区彭陽県博物館、甘粛省慶陽市博物館で展示品の調査を行った。 ③国内調査は、前年度に引きつづき京都大学総合博物館収蔵資料の調査を継続した。調査内容は写真撮影・計測を含む形態学的データの取得と、蛍光X線分析である。調査資料数は前年度と合わせて150件に及んだ。これらの成果をまとめ、報告書『中国長城地帯青銅器文化遺物の研究 京都大学総合博物館収蔵資料編』を刊行した。 ④上記のほか、本研究につながる2012年からの研究成果を中国語化する作業を進めることとした。これは、中国の研究者との交流の中で、中国の研究者からの要望として持ち上がったものである。蓄積してきた過去プロジェクトの成果を再検討してより明瞭化することを行った上で、翻訳を進めている。また資料の形態学的データの記録方式として活用するフォトグラメトリ(SfM-MVS)の試用を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究実績の概要」に挙げたうち②中国・徐州博物館での本格的な資料調査はCOVID-19のために断念せざるをえなかった。ただし、③国内資料の調査研究は当初想定していたより大きな成果となり、報告書の刊行に至った。また当初予定していなかった既往成果の再検討・中国語化を進めたことなど、計画と異なる部分があるものの、総体として相応の成果が得られたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
①「漢における北方起源器物・文様の集成」、②「中国現地での資料調査」、③「過去プロジェクト成果の再検討・中国語化」を進める。 COVID-19の影響がようやく小さくなってきたので、中国における活動を実施できるものと考えている。特に研究代表者は来年度の後半の半年間は中国に滞在する予定であるので、その環境を活かしたい。①に関しては、日本で入手しにくい文献を積極的に調査する。②は事前準備を綿密にし、良好なデータを得られるようにする。④は中国の研究者と頻繁に連絡を取りつつ進める。
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