研究課題/領域番号 |
21H00606
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
水野 敏典 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部企画課, 副主幹 (20301004)
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研究分担者 |
わけびき 真澄 中部大学, 現代教育学部, 教授 (00534398)
山田 隆文 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (30301005)
古谷 毅 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部, 研究員 (40238697)
北井 利幸 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部学芸課, 指導研究員 (70470284)
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, その他部局等, 副所長 (80250380)
奥山 誠義 奈良県立橿原考古学研究所, 企画学芸部資料課, 総括研究員 (90421916)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 三次元計測 / 同型鏡 / 同笵鏡 / 三角縁神獣鏡 |
研究実績の概要 |
研究目的は、鋳造実験と実物観察を並行し、銅鏡や銅鐸の製作技術の解明を進め、弥生時代から古墳時代にかけての青銅器の製作技術系譜の連続性を評価し、歴史的な解釈につなげることにある。2000年以降、蓄積した三次元デジタル・アーカイブを活用して青銅器製作モデル(鋳型の素材・構造を含めた鋳造工程の復元)を構築し、製作モデルに従って鋳造実験を行い、そこに三次元計測技術を導入して実験過程の収縮変形を記録し、原鏡にみられた諸現象の再現性から製作モデルの検証を行う。 今年度は、新型コロナ感染症予防対応の必要性から、外部での活動に障害があったため、研究環境の整備を前倒しして進め、解析用PC、三次元計測器計測レンズの購入、ソフトウェアの更新を行った。 外部での計測調査の代わりに橿原考古学研究所内の資料の調査を進め、桜井茶臼山古墳銅鏡片などの計測とデータ解析を進めた。並行して、来年度以降にむけて福岡県九州歴史資料館、宗像大社などにおいて調査の打ち合わせを行った。 継続研究として、第87回日本考古学協会総会でのポスターセッション「三角縁神獣鏡『同笵鏡』断面の差異の基礎的研究(2)」をオンラインで行った。黒塚16・18号鏡等の三角縁神獣鏡「同笵鏡」の鏡面側を含めた精密な断面図の比較を行った。中央付近の厚さが1㎜前後にもかかわらず、鏡面側曲面が近似することから、鏡面側鋳型についても同笵である可能性を指摘し、外区付近の厚さに差が大きくなる部分については研磨量の差と解釈した。これを受けて、今後の発表に向けて他の「同笵鏡」でも検証を進めた。 実験については、同型技法による鏡径収縮の再現を目的に、科研会議で実験条件の検討を行い、鋳型乾燥時の収縮を妨げないことに重点を置き、砂を敷いた上で鋳型の乾燥実験を行った。製作直後と時間をおいての三次元計測を行い、鋳型の収縮の検証を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究環境の整備が進んだこと、継続研究として研究発表を1本行うことができたこと、作成した計測画像の活用できたこと、鋳型製作実験を実施できたことが大きい。特に、実験は、想定した鋳型収縮が発生し、三次元計測による記録を行うことができたことで、踏み返しの際の鋳型収縮を妨げる原因の洗い出しが妥当であったことを検証でき、今後の鏡面側鋳型作成と、鋳造実験にむけて準備ができた。計測調査については、次年度も新型コロナ感染症の状況次第ではあるが、調査が実施しにくい状況であれば、研究に必要なものに絞りつつ、これまでに蓄積した計測データの解析を前倒しすることで対応したい。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従い、実験鋳型については、引き続き同型技法の再現実験を進める。鋳型乾燥時の収縮条件を確認しつつ、鏡面側鋳型作成の検討を進め、鋳造実験による二次製品の収縮現象を再現し、笵傷の発生にも注目し、その再現性についても検討する。これと並行して、製作技術に関わらず研究会発表等での三次元計測および画像の考古学的な利用を進め、研究全般の公開を進める。
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