研究課題
本研究は,古代における年輪年代学的木材産地推定を可能にすべく,標準年輪曲線の広域ネットワークを整備することを目的とする。年輪年代学的な木材産地推定を実現するためには,年輪年代学的に確実に年代が揃った年輪データを,広い範囲に集積・整備しなければならない。そこで,これまでに集積している古代における年輪データの重複する期間について,各地域の木材試料から年輪データを集積し,地域標準年輪曲線を構築する。そして,古代都城の木材試料について年輪年代学的木材産地推定を試行し,考古学,建築史学,日本史学の観点との相互検証を行う。研究初年度は,試料調査,及び各地域標準年輪曲線構築に向けた年輪幅の計測を中心に研究を進めた。古代都城の木質文化財を検討することにより蓄積された年輪データについて,現段階で年代が揃っている期間は,西暦360年~686年の327年間であり,試料調査を実施するのはこの期間の年輪データを含むことが期待される木質文化財にターゲットを絞って行った。そして,既に調査の内諾を得ている木質文化財試料の調査に加え,分担・協力者を中心に本ターゲットに有用な木質文化財の情報収集を行った。年輪幅データの計測は,本研究課題の根幹となるものであり,導入済みのデジタルマイクロスコープシステムに改良を加えて撮影した画像など,年輪画像を用いて行った。年輪幅の計測は,緻密で労力が大きく,時間を要する作業であるが,木材組織に関するごく基礎的な知識を習得すれば作業自体は比較的容易であり,これまでに支援を受けた科研費研究課題でも作業補助者を雇ってデータ生産性の向上を図っている実績がある。そこで,本研究課題においても作業補助者を雇って年輪計測を進め,年輪データの集積を進めた。
2: おおむね順調に進展している
研究初年度は,試料調査,及び各地域標準年輪曲線構築に向けた年輪幅の計測を中心に研究を進めた。古代都城の木質文化財を検討することにより蓄積された年輪データについて,現段階で年代が揃っている期間の年輪データを含むことが期待される木質文化財にターゲットを絞って行い,既に調査の内諾を得ている木質文化財試料の調査に加え,分担・協力者を中心に本ターゲットに有用な木質文化財の情報収集を行うことができた。年輪幅データの計測は,本研究課題の根幹となるものであり,導入済みのデジタルマイクロスコープシステムに改良を加えて撮影した画像など,年輪画像を用いて行った。年輪幅の計測は,緻密で労力が大きく,時間を要する作業であるが,作業補助者を雇って年輪計測を進め,年輪データの集積を進めることができた。
研究2年目にあたる2022年度は,前年度に引き続く試料調査,及び各地域標準年輪曲線構築に向けた年輪幅の計測に力を入れる。試料調査は,分担・協力者を中心に本ターゲットに有用な木質文化財の情報収集を行うとともに,昨年度の試料探索により調査の内諾を得た唐招提寺古材の調査を開始し,年輪画像の撮影を行う。また,昨年度と同様に年輪幅データの計測は,木材組織に関する基礎的な知識を習得した作業補助者を雇って進め,年輪データの集積とデータ生産性の向上を図る。さらに,これまでに集積している現有年輪データの再整理を行い,各地域標準年輪曲線の構築を進める。
すべて 2022 2021 その他
すべて 雑誌論文 (13件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (2件)
奈文研論叢
巻: 3 ページ: 175-185
Geophysical Research Letters
巻: 49 ページ: e2021GL097201
10.1029/2021GL097201
巻: 3 ページ: 153-173
滋賀県文化財保護協会紀要
巻: 34 ページ: 35-41
大和郡山市文化財調査年報 令和2年度
巻: - ページ: 65-69
京都府遺跡調査報告集
巻: 185 ページ: 188
中村慎一(編)日中共同研究成果報告書『中国江南の考古学』
巻: - ページ: 159-200
文化財科学
巻: 83 ページ: 41-53
奈良文化財研究所紀要
巻: 2021 ページ: 8-9
巻: 2021 ページ: 3-5
平城宮跡資料館令和3年度秋期特別展「地下の正倉院展-木簡を科学するⅡ-」
巻: - ページ: 6
公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団調査報告書
巻: 683 ページ: 351-358
興福
巻: - ページ: 3-4
https://www.youtube.com/watch?v=_5q_YQzYMvA
https://www.youtube.com/watch?v=ap0iyoCcLD0&t=34s