研究課題/領域番号 |
21H00621
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
先山 徹 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 客員教授 (20244692)
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研究分担者 |
佐野 恭平 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 助教 (40843321)
川村 教一 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 教授 (80572768)
松原 典孝 兵庫県立大学, 地域資源マネジメント研究科, 講師 (80597336)
乙藤 洋一郎 神戸大学, 理学研究科, 名誉教授 (90160895)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 帯磁率 / 石材 / 花崗岩 / 凝灰岩 / 産地同定 / 土石流 |
研究実績の概要 |
令和3年度当初の予定では分担者全員で主要な採石地を調査する予定であったが新型コロナ蔓延の状況を考慮し、各自での調査となった。採石地として、島根県松江市の砂岩(来待石)および福井県高浜地域の安山岩(日引石)の露頭調査を行った。そのうち来待石については松江市周辺と兵庫県北部に分布する砂岩製の石造物調査を行い、帯磁率と岩相からこれらの多くが来待石と対比されることを明らかにした(論文投稿中)。一方、日引石については採石場が特定されなかったが、岩相にばらつきがあること、また東北地方(青森県五所川原市、山形県鶴岡市)に存在し、従来日引石製とされている中世五輪塔について帯磁率に大きな差があり、採石地でのさらなる岩相変化をおさえることの重要性を指摘することとなった。 近畿地方には白色凝灰岩類製の歴史的石造物が分布する。その産地を特定するため、香川県の中新世讃岐層群の凝灰岩類の観察と帯磁率の測定を行った(学会発表済み)。 瀬戸内海沿岸を中心に、黒色を呈するラピリストーンや火山礫凝灰岩を主体とする「豊島石」製石造物と原産地の対比を試みるために,香川県の豊島,小豆島,男木島,女木島,および屋島に分布するラピリストーンを調査した。現地では岩相観察と帯磁率測定を実施した(論文投稿中)。 瀬戸内地域の花崗岩についてはこれまでの資料も加えて、島嶼部及び沿岸地域の花崗岩について、全般的な帯磁率と岩相の大枠をつかみ、現在投稿準備中である。また六甲山地南麓の花崗岩、琵琶湖西岸(比良山地東麓)の木戸花崗岩についての調査を行い、帯磁率の差異で両者が区分される一方、両地域の石材とも山麓の土石流災害と密接にかかわっていることが明らかになり、日本地質学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者全員での調査はできなかったが、その代わり個別での調査はそれぞれ進んでいる。その結果瀬戸内周辺及び山陰-北陸地域の採石地について、全体的な石材の大枠はほぼつかむことができている。またいくつかは投稿準備中あるいは学会での講演済みである。
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今後の研究の推進方策 |
地域全体の帯磁率と岩相についての傾向はほぼつかめているので、今後はそれぞれ1地域内での帯磁率のばらつき程度の詳細をおさえ、石造物との対応関係をおさえていく。その際カルテの様式を確定し、それに沿った系統的なデータ取得が必要と考える。 当初の計画では試料情報として、肉眼による記載のみを想定していたが、正確な岩石記載のため採石地の岩石について薄片も作成することとする。また一般市民も参加した中間発表会も開催を検討する。
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