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2022 年度 実績報告書

鳥類標本の羽から探る生態と種分化

研究課題

研究課題/領域番号 21H00622
配分区分補助金
研究機関岡山理科大学

研究代表者

武山 智博  岡山理科大学, 生物地球学部, 准教授 (70452266)

研究分担者 小高 信彦  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90414482)
水田 拓  公益財団法人山階鳥類研究所, その他部局等, 自然誌・保全研究ディレクター (20865026)
富田 恭子 (岩見恭子)  公益財団法人山階鳥類研究所, その他部局等, 研究員 (90446576)
富田 直樹  公益財団法人山階鳥類研究所, その他部局等, 研究員 (90619917)
兵藤 不二夫  岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (70435535)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード鳥類標本 / 安定同位体分析 / 羽試料 / 餌利用 / 栄養段階
研究実績の概要

本年度は,前年度に確立した鳥類標本の損傷を最小限に留めた試料採取方法を用いて得られたスズメの試料を用いて,炭素および窒素の安定同位体分析を進めた。1個体のスズメにおける複数の体の部位(頭,翼,胴体等)から体羽を,翼の羽に関しては片翼の初列風切り全9枚および尾羽の片側全6枚の試料がそれぞれ得られた。分析データより,1個体内における部位間の安定同位体の値の変異の程度を検討した。炭素安定同位体比の値について,1個体内の4部位の体羽(頭頂部,胸部,腹部,腰部)の値は,部位間での差は0.5-2.0 ‰ 程度と比較的小さい範囲に留まっていた。一方で,同じ部位の体羽の値を個体間で比較すると,2.0‰程度の差が認められた。尾羽に関しては,部位(中央の1番から端の6番の羽)間の差が比較的小さい個体(<2.0‰)と,大きい個体(>5.0‰)の2つに大別された。初列風切羽についても,尾羽と同様に部位(翼中央部に近い1番から端の9番の羽)間の差が比較的小さい個体(<2.0‰)と,大きい個体(>5.0‰)の2つに大別された。これらの結果は,換羽が進行する間に餌生物が変化した個体と,ある程度定まった餌生物を採餌している個体の違いを反映していると推察された。次に窒素安定同位体比の値について,1個体内の4部位の体羽(頭頂部,胸部,腹部,腰部)の値は,部位間での差は0.5-2.0 ‰ 程度と比較的小さい範囲に留まっていた。一方で,同じ部位の体羽の値を個体間で比較すると,2.0から5.0‰程度の差が認められた。尾羽と初列風切羽に関しては,炭素安定同位体比の場合と同様に,前者の部位(中央の1番から端の6番の羽)間の差,後者の部位(翼中央部に近い1番から端の9番の羽)間の差が比較的小さい個体(<2.0‰)と,大きい個体(>5.0‰)の2つに大別された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度も,前年度ほどの規模や期間ではなかったが全国的な新型コロナウィルスの感染拡大が繰り返され,研究活動の中止,延期などの制限を受ける事態が生じた。主には研究機関への立ち入り制限,研究者の移動の制約に影響が及んだ結果,分析用の試料の準備に支障が生じ大幅に作業が遅れた。ただし,主に昨年度の段階で採取していた試料の安定同位体分析を進め,1個体のスズメにおける部位間の詳細な安定同位体比の値の比較を検討でき,一定の成果が得られた。

今後の研究の推進方策

今年度までの成果として,標本の損傷を最小限に留めた試料採取方法の確立と,その方法の応用としてスズメの試料採取および安定同位体分析を実施した。スズメは国内では分布域の広い小型の留鳥とされる。今後は,同様に国内の広域分布の留鳥で中型のカラス類を対象に,スズメに用いた同様の試料採取並びに安定同位体分析を進める予定である。加えて,スズメおよびカラス類の安定同位体比の値が,全国規模の地域間でどの程度の差があるのか,検討を進めたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 奄美大島と沖縄島北部におけるアマミ ヤマシギの自動撮影パターンの比較2022

    • 著者名/発表者名
      小高信彦(森林総研九州)・鳥飼久裕 (奄美野鳥の会)・久高将和・久高将洋 (Yambaru Blue)・嵩原健二(沖縄野鳥 研究会)・水田拓(山階鳥研)
    • 学会等名
      日本鳥学会2022年度大会

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公開日: 2024-12-25  

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