研究課題/領域番号 |
21H00623
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人元興寺文化財研究所 |
研究代表者 |
川本 耕三 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (10241267)
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研究分担者 |
大国 万希子 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, その他 (40250352)
尾崎 誠 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, その他 (50224209)
木沢 直子 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50270773)
桃井 宏和 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (50510153)
山田 哲也 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (80261212)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 保存処理 / 出土木製品 / エックス線 / 実態調査 / 劣化 / 収蔵 |
研究実績の概要 |
1.内部亀裂・空洞のある保存処理済み出土木製品のデジタルエックス線ラジオグラフィ・・・出土木製品を薬剤含浸処理すると、特に厚みのあるものについて様々な要因により水分が残留し、保存処理後内部に亀裂や空洞が生じるものがあった。そこで出力60~200kV、管電流3mA、フィルム間距離600mm(照射範囲φ400mm)の可搬型エックス線照射装置と、ピクセルピッチ98μm、有効面積250×300mmのフラットパネル(記録装置)を導入した。 少量の水分が木材深層に残留するように凍結乾燥処理した直径約150mm、長さ約250mmの五葉松類の出土丸太材は既にX線CTを行って内部に空洞が生じていたことが確認できていた。この遺物について、今年度デジタルエックス線ラジオグラフィを行い、付属のソフトウェアで画像処理したところ、内部の空洞を観察することができた。導入した可搬型デジタルエックス線ラジオグラフィ装置を各地の収蔵施設に持ち込めば、同様にして保存処理済み出土木製品の実態調査ができると考えられた。 2.保存処理実験による亀裂や空洞の再現・・・さまざまな含浸処理法で出土木製品を処理して亀裂や空洞の再現するため、複数の遺物を選定し含浸処理をはじめている。また、保存処理後に適切な保管環境を保つため、使用温度範囲-10~80℃(±0.5℃)、使用湿度範囲20~95%RH(±3%RH)の恒温恒湿器を導入した。 3.調査遺物の選定・・・元興寺文化財研究所がかつて保存処理した出土木製品について当時の調書や報告書を調べ、さらに所蔵する収蔵施設への聞き取りをして、調査すべき出土木製品を選定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外部収蔵施設の調査を行うための機器の整備はほぼ予定通りに行うことができたが、新型コロナウイルス感染症の流行が収まらず、収蔵施設の調査ができない状況があった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症の流行は当面続く可能性があるため、調査は近県中心に行うこととした。そこで従来からの研究目的のひとつである、内部に欠陥を持った出土木製品の力学的経年劣化の分析と強度回復のための方法の開発を優先して研究を進めることとした。そのため、令和3年度に恒温恒湿器を購入した。
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