研究課題/領域番号 |
21H00633
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
中西 僚太郎 筑波大学, 人文社会系, 教授 (70202215)
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研究分担者 |
山根 拓 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (30222376)
河原 典史 立命館大学, 文学部, 教授 (60278489)
三木 理史 奈良大学, 文学部, 教授 (60239209)
天野 宏司 駿河台大学, スポーツ科学部, 教授 (40383294)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 東アジア海域 / 海上交通 / 沿岸地域 / 汽船 / 定期航路 / 港湾都市 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、20世紀前半の日本からみた東アジア海域における海上交通の発達に伴う人やモノの移動と地域間関係の形成、並びにそれらと関係する港湾都市を中心とする沿岸地域の動向を明らかにすることを目的として研究を進めた。 資料調査は、北海道では北海道立文書館および同図書館、小樽商科大学附属図書館、市立小樽図書館において資料収集を行うとともに、小樽市および稚内市で現地調査を実施した。中国地方では、島根大学・足立文庫にて境港~鬱陵島間の流通に関して、九州では北九州市立中央図書館と北九州市立文書館にて、門司港関係の新聞記事などの調査をした。台湾に関しては、国立台湾図書館にて,日本統治時代の統計資料を調査した。また、オンライン版の全国商工会議所関係資料を購入し、活用できる体制を整えた。 成果として、北海道の港湾都市については、小樽に関して、その発展と航路・鉄道網の形成過程を関連付けて検討し、20世紀以降は道内鉄道網の形成によって、本州の鉄道網への集結を求めない道内産品の結節点として函館との棲み分けを形成したこと、対樺太航路では優位にあったが、外国航路は大規模化せず、取引自体は小規模であったことを明らかにした。また、個別商人の取引記録をもとに、小樽の海産物・食料品商の取引相手は樺太の商人が非常に多かったことを示した。西日本の港湾都市としては、門司に関して貿易品について検討を進め、中国・台湾からの消費財の輸入品としては砂糖と鶏卵、獣骨が注目すべきものであることを明らかにし、その消費については北九州や阪神地方での菓子文化の形成や、南九州における骨粉肥料供給に寄与したことを示した。植民地期朝鮮・鬱陵島における缶詰製造所の展開について、資料整理を進めた結果、鳥取県米子の奥村家による隠岐から鬱陵島への進出や、その後の軍事統制下における京都・竹中缶詰製造所による統合の過程を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
中国、ロシアへの海外調査は近年の社会情勢をふまえると慎重に行う、あるいは困難な状況にあり、調査活動には制約があったことや、勤務先での新たな業務により、研究に割ける時間が減少したため。
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今後の研究の推進方策 |
海外調査は台湾、韓国に止めて、不足する研究資料は、国内の図書館・資料館やインターネットを活用して収集することとし、研究成果の公表を積極的に進める。研究時間の減少に対しては、研究期間を1年延長して補うことを考えている。
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