研究課題/領域番号 |
21H00640
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
山本 睦 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (50648657)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アンデス文明 / フロンティア / 社会の複雑化 / 地域間交流 / アンデス形成期 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、異なる文化圏が重なりあう能動的な主体としてのフロンティアという視点から、アンデス文明形成期(前3000 年-紀元前後)における社会の複雑化と地域間交流の動態的相互関係を多角的かつ実証的に解明することである。そこで本研究では、ペルーとエクアドルで考古学調査を実施し、獲得したデータの理化学的分析を通じて、人とモノの動きを実証的に明らかにすることを目指している。 それをふまえて、2021年度には、エクアドルで次年度以降におこなう発掘調査の対象遺跡を選定するために遺跡分布調査を実施し、ペルーでは次年度の発掘調査手続きをすすめる予定であった。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響によって、渡航が制限されることとなった。 そのため、ペルーおよびエクアドルの現地研究者と連携し、これまでに入手したデータの整理・分析に注力した。また、人骨や動植物遺存体の炭素・窒素・ストロンチウム・酸素同位体分析を実施するために、現地の研究協力者や専門家に協力を依頼して、動植物遺存体の種同定を実施した。これらの分析は、従来ならば2022年度以降に、新たな発掘データとあわせておこなうことを予定していたものである。さらに、議論の理論面における精緻化を目指して、関連文献を渉猟した。そして、これまでの研究成果を統合しつつ、研究成果の発信に努めた。 上記の成果によって、アンデス文明形成期のフロンティアにおける社会的状況とその通時的変化の具体的諸相を明らかにしていくための基盤を築くことができた。それは、フロンティアにおける複雑な社会動態と文明形成過程との関連を、包括的に論じる本研究の礎となる重要な成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響によって、2021年度は海外のフィールドへの渡航は断念せざるをえなかったが、現地および日本の研究者や専門家の協力をうけて、これまでに蓄積されていたペルーとエクアドルにおける考古学資料の分析や整理(図面作成、写真撮影、デジタル化)をすすめることができた。これらは、2022年度以降の調査および研究の基礎となる重要なデータであるといえる。 また、関連文献を渉猟し、理論研究をすすめることを通じて、研究成果を学会などにおいて様々な形で広く発信し、多くの研究者とも情報を共有することができた。 これらのことから、本研究は、当初の予定とは異なっているものの、状況におうじて研究計画を柔軟に見直して対応できていることから、おおむね順調に推移してきていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、2021年度から実施してきた、これまでの発掘調査でえた出土遺物の分析成果を、2023年以降の発掘データと総合することで、神殿における儀礼活動と地域間交流についての議論を精緻化していく。2023年度は、ペルーのインガタンボ神殿遺跡において発掘調査を実施する。この調査に関する諸手続きは、2022年度からすでに開始されており、現地の研究協力者や関連機関との調整は順調にすすんでいる。 エクアドルにおいては、2024年度に発掘調査を実施するため、ロハ市近郊で現地研究者や関連機関との最終的な調整をおこなう。 日本では、人骨や動物骨の炭素・窒素・ストロンチウム・酸素同位体の分析を実施する。サンプルを抽出するための整理・分析作業は、2021年度から開始している。 本研究でえられた成果は、国内外の学会やシンポジウム、出版物において随時発表し、様々な研究者との意見交換やこれまでに渉猟した関連文献との比較検討を通じて、さらなる精緻化をすすめていく。
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