研究課題/領域番号 |
21H00650
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
De・Antoni Andrea 京都大学, 人間・環境学研究科, 特定准教授 (10706865)
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研究分担者 |
石井 美保 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (40432059)
井本 由紀 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 講師 (90581835)
津村 文彦 名城大学, 外国語学部, 教授 (40363882)
村津 蘭 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (50884285)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 宗教的治療 / 情動 / 感覚 / 仮想空間 / インターネット |
研究実績の概要 |
今年度(2022年度)は、本研究に関係する海外の最新の研究動向の把握と、各メンバーがこれまでに取り組んできた民族誌的・理論的研究の中間成果の公開などを行った。まず、代表者と分担者の村津は学術誌『文化人類学』において情動に関する特集を共編した。そこで序論に加え、代表者、分担者の村津と協力者の黄は各々学術的論文を掲載した。これらの論文は全て、様々な社会における宗教的治療実践を、情動・想像力と身体化された記憶との関係から検討したものである。また、代表者はバルセロナで開催された国際学会「Japan Anthropology Workshop」で情動に関連する分科会を組み、代表者と協力者の黄が発表を行った。 以上の共同で発表した成果に加えて、各メンバーは学術誌や編著に宗教的実践・治療と情動・感覚に関する論文を投稿している。また、共同研究機では、本課題において議論をけん引する存在であるチリ大学のDiana Espirito Santo氏にオンラインで特別講演をしてもらった。こうした結果本研究会の国際的ネットワークを広げることができた。2023年6月にはEspirito Santo氏を招聘し国際ワークショップを行う予定である。 また、本課題の広報のためのウェブサイト(http://religioushealing-anthropology.org)を作成し、それを通じて研究内容、出版物、イベントなどを一般にも公開している。 さらに、今年度はメンバー全員が文献やインターネットなどを通じて情報収集を行うことで、本研究に関係する民族誌的・理論的知見の深化に努めた。加えて、渡航可能であったメンバーは研究対象地で調査(参与観察とインタビュー)を実施し、民族誌的情報の収集と調査方針の確認を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は文化人類学的研究であるため、参与観察による収集されたデータに基づいている。メンバーの調査地によっては、コロナ禍の影響で調査のための渡航が困難であった。そのため、データ収集に多少遅れが出ている。 また、同様の理由で海外から研究者を招聘することが困難だった。メンバー間で研究会を行うことも、海外の研究者からオンライン上で講演してもらうことができたが、予定していた国際ワークショップや国際シンポジウムなどのイベントは次年度以降に延期することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度:仮想空間、及び各々のメンバのフィールドで宗教的治療実践の参与観察を行う。その後に、実践に参加した人々への聞き取り調査を行う。特にポイントとするのは、専門家及び被験者のこれまでの治療経験や、治療実践の場で生起した情動・感覚についてである。その後、参与観察によって確認した具体的な状況に基づき、聞き取った語りと具体的な相互作用との関係性や、環境との相互作用によってどのような情動・感覚が発生したのかを分析する。テレビ電話を利用した治療実践の場合で映像記録がある場合は、ELANなどの映像解析ソフトを利用し、治療者・被治療者の身振り・表情・発話と聞き取りで明らかになった情動・感覚の関係の、微細なレベルでの対応関係を分析する。SNSのやりとりについては質的データ分析ソフトNvivoを用いてテクストの関係等を分析する。 ・2024年度:前年度までの調査をまとめ分析したものをメンバー間で議論した上で、補足が 必要な情報についての調査を行う。 【月例会・研究成果発表】 月例研究会(オンラインを基本とし、年に2~3回は対面で行う)を開催し、問題意識の共有と深化を図るとともに、年に1回海外から研究者を招聘しワークショップを開催する。 さらに、国際シンポジウムの開催により、一度研究成果の公開を行ったうえ、2024年度に英語での編著の出版に向かう。また、代表者と分担者の村津は国際人類学民族科学連合(IUAES)でパネルを組み、その中で代表者、分担者の村津と津村が発表を行う予定である。
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