研究課題/領域番号 |
21H00684
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 教授 (50625085)
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研究分担者 |
曽我 謙悟 京都大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
小林 哲郎 神戸大学, 法学研究科, 研究員 (60455194)
中谷 美穂 明治学院大学, 法学部, 教授 (60465367)
SONG JAEHYUN 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (70822617)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | コロナ禍 / 地方政府 / 信頼 / サーベイ実験 / オンライン調査 / ビッグデータ / 知事 |
研究実績の概要 |
2021年度は、研究プロジェクトのメンバー各自の問題意識に基づく研究のほか、全体として、2022年度に行う予定の大規模オンラインサーベイ実験の実施に向けた、比較的小規模の実験を試論的に行う予定であった。しかしながら2021年3月以降、計画当初には想定できなかったほど、コロナの感染状況がこれまで以上に悪化した(いわゆる第4波)。加えて、東京オリンピックを契機とするコロナ感染者の拡大(第5波)とそれに対する各自治体の取り組みへの評価についても、議論する必要性が生じた。さらに、新しく誕生した岸田内閣のもとで、10月末に衆議院議員総選挙が行われたことも、計画当初は予想していなかった出来事だった。これらの、計画当初は予期できなかった突発的事象に対応すべく、本研究では、大きくは2つの意識調査を実施した。
第1の調査は、兵庫県、大阪府、愛知県、東京都の18歳以上79歳以下の男女を対象とする意識調査である。この調査は、いずれも緊急事態宣言が発出されていた2021年8月末に実施したものであり、対象者数は約1500人である(計6000人)。一般的な政治意識に加えて、自治体首長への支持、コロナ感染拡大に対する責任帰属意識、手がかりとしての知事の重要性に関する質問項目を、この調査に含めていた。
第2の調査は、全国の18歳以上79歳以下の男女を対象とする意識調査である。この調査はパネル調査であり、衆院選前の2021年10月30-31日に2600人、衆院選後の11月1日-5日に約2000人を対象に実施した。コロナ感染拡大に対する責任帰属意識等について質問するだけでなく、コロナ政策の担い手を明らかにするためのコンジョイント実験も、この調査には含めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた通り2021年度においては、研究計画を作成した時には想定しえなかった様々な突発的事象が生じた。そのため、当初想定していた研究計画については必然的に見直さざるを得ず、この点で「当初の計画以上に進展している」と評価することはできない。しかし、現実政治・社会の動きを見据えた形で大規模な意識調査データを取得できたことは事実である。特に都市部のみならず、全国の有権者を対象とする調査を行えたことは重要である。以上より「おおむね順調に進展している」ものと考える。
なお、都市部の有権者を対象とする実験結果は、感染症対策について、知事の発言等は有用な手がかりとはなりにくいというものであった。この知見は、当初、研究プロジェクトメンバーで想定していたものと異なるものであり、初年度の時点で本研究の実験設計や仮説の問題点ないし改善点等を知れたことも、おおむね順調に進展していると考える理由の一つである。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は7月の参院選後に、都道府県レベルの分析が可能となるくらいの大規模な意識調査を実施することを予定している。参院選は都道府県を1つの選挙区とするものであり「地元」の県議会議員や市議会議員、さらには知事や市長も応援演説等を行う可能性が高い。言い換えれば有権者の地方政治に対する評価が国政での政治選択と関連する可能性が高く、よってこの点を明らかにすることが可能な意識調査を実施することを計画している。
意識調査の規模は、20000人程度を予定している。ただし、調査費用は、質問あるいは実験項目数などによって変動するため、20000はあくまで予定であり、場合によってはこれを下回る可能性もある。しかしながら大規模なデータでないと地域単位の分析が困難であることから、10000以上、すなわち都道府県あたりの回答者数が200人を下回らないようにする予定である。
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