研究課題/領域番号 |
21H00715
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
児玉 直美 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10573470)
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研究分担者 |
乾 友彦 学習院大学, 国際社会科学部, 教授 (10328669)
星 岳雄 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (50838729)
権 赫旭 日本大学, 経済学部, 教授 (80361856)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 経済成長 / 高齢化 / 企業動学 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、経営者属性と経済成長の関係について分析する。企業は、企業運営の多くを、経営者の経営能力や意欲に依存しており、経営者の能力や属性は、そこで働く人のそれよりも企業の業績や存続に大きな影響を与える。それにも関わらず、経営者の高齢化、地元志向、女性経営者増加といった属性変化が経済成長にどのような影響を与えるかという研究は、極めて少ない。本研究では、経営者の高齢化などの属性変化が企業動学(参入、退出、成長等)、ひいては、日本全体の経済成長に与える影響を分析する。日本は人口減少と高齢化に直面している。経営者は、人口の減少以上に減少し、人口の高齢化以上に高齢化が進んでいる。本研究では、経営者の質的変化が企業動学に及ぼす影響について検証し、背後のメカニズムを解明することによって国全体の経済成長への政策的含意を導き出すことを目指す。 2023年度は、これまでに構築したデータセットを使って分析を進め、論文のドラフトを作成した。データ分析結果から、1)経営者である確率と経営者の年齢、2)企業売上高、従業員一人当たり売上高と経営者の年齢の間に逆U字関係があることを明らかになった。このモデルを用いて、社会人口問題研究所が発表している将来予測に従って人口が高齢化した場合のTFPと1人当たり生産高の変化を予測した。その結果、2030年までには、高齢化はTFPを緩やかに上昇させるが、労働投入量の減少を通じて一人当たり生産高を減少させる可能性があることが明らかになった。 ドラフトは一通り書き上げたが、追加の検討が必要な点が残っている。今後、追加の分析、学会発表などを通じて論文を改訂していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、データ分析を行い、論文のドラフトを作成した。分析は進めているが、まだ試行錯誤中である。実証分析と合わせて、モデルの構築、既存研究レビューも進めている。 本研究では、経営者の能力や属性は、企業の業績や存続に大きな影響を与えるため、経営者の高齢化などの属性変化が経済成長に大きな影響を与えることを想定していた。しかし、これまでの分析では、経営者よりもむしろ労働者の高齢化の影響の方が大きそうであることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
経営者の高齢化などの属性変化が経済成長に大きな影響を与えることを想定していたが、これまでの分析からは、労働者の高齢化の方がより大きな影響を与えることが分かった。 当初の仮説とは異なるが、実証分析から得られた結果を元に論文を書き進めていく予定である。
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