研究課題/領域番号 |
21H00730
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
芝田 隆志 東京都立大学, 経営学研究科, 教授 (70372597)
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研究分担者 |
西原 理 大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (20456940)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ファイナンス / 企業金融 / 情報の非対称性 / 資金制約 |
研究実績の概要 |
本年度の研究業績は,学術論文4本(査読つき国際学術誌3本,査読なし国内学術誌1本),学会報告11件(国際7件,国内4件)に集約される.
本年度の研究における主要な結果は次の2点にある.第一に,情報の非対称性の源泉が,企業の流動化価値に存在すると仮定し,それが企業の投資戦略や資金調達にどのような影響を及ぼすかについて明らかにした.従来の研究では,情報の非対称性の源泉が投資費用やキャッシュフローに存在すると仮定されている.それに対して,本研究では,非対称性の源泉が流動化価値に存在すると仮定することにより,新しい結果を導出することができた.具体的には,もし流動化価値における情報非対称性の程度が大きくなるならば,債権者は企業に融資する額を減少させ,企業の投資を遅延させることを明らかにした.第二に,企業の負債発行制限が,企業の投資行動に与える影響について明らかにした.本研究では,負債の発行額が,企業のキャッシュフロー水準に制限されると仮定した.それに対して,従来の研究では,負債の発行額が,投資費用や担保(流動化価値)によって制限されていた.本研究では,企業の投資タイミングが負債発行制約に対して単調になる訳ではなく,投資タイミングが負債発行制約に対して非単調となることを明らかにした.これらの結果は,実証研究と一致しており,実証結果と整合的なメカニズムを理論的に示すことに成功した.
学会報告では,国際学会にて7件,国内学会にて4件,研究報告を行った.次年度,これらの研究成果を論文として取りまとめ,学術論文誌に投稿する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究期間が2年が経過した現時点において,学術論文8本(2021年度5本,2022年度3本)が査読つき国際学術誌に掲載され,また学会報告を17回(国際学会10回,国内学会7回)行うことができた.これらの成果から鑑みて,本研究は当初の計画以上に進展していると判断できる.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では,企業の取り巻く環境を,独占市場ではない競争市場と仮定し,競争市場におけるライバル企業の経営活動が,企業の資金調達や投資行動に与える影響について明らかにする.
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