研究課題/領域番号 |
21H00794
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
青木 豊 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (30231773)
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研究分担者 |
上鹿渡 和宏 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10623689)
平部 正樹 聖心女子大学, 現代教養学部, 准教授 (20366496)
藤原 武男 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80510213)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 社会的養育 / 被虐待・ネグレクト乳幼児 / 環境 / 測定法 / 里親養育 / 施設養育 |
研究実績の概要 |
本年度に社会的養育環境質問紙(EQ)の暫定版を完成させた。昨年度から引き続き、経験者へのインタビュー、文献レビュー、研究チーム内での議論により、暫定版を完成させた。EQの暫定版は、大きく2つの領域から構成されている。第1は、文献と研究チーム内での議論から決定したもので、発達の6領域(認知、社会・情緒、社会的規範・道徳、コミュニケーション、生活の構造化、運動)を促進する環境因子とした。例えば認知の発達を促進する環境の質問には「発達に応じた、形・色・大きさの違いの理解を促す声かけをする」がある。第2は、施設職員および里親とのインタビューから得られた領域の質問である。それらは環境の安定性・一貫性、通常社会に起こる多様な経験の供与、専門家へのアクセス、職場や家庭の安定性、である。たとえば、環境の安定性・一貫性を問う質問には、「子どもの生活してきたストーリー・歴史を感じられるようにアルバムを作ったり、記録や日記をつけたりさせている」がある。これら質問で工夫した点は、行動観察でなく質問紙であるために、その質問項目の行動の頻度などを観察からカウントすることができないことをどのように扱うかであった。結果、それぞれの質問項目にたいして、第1に、その項目をどの程度重要と考えているか、第2にどの程度実践できていいるかを質問した。こうすることにより、回答者の表象についての評価を可能にでき、ある程度実施できているかについても信頼性を持って測れると考えた。また法的に規定もされる因子(たとえは、職員ー子ども比など)と施設と里親の背景についての質問(例えば大社性、小社性、里親の里親経験年数など)が加えられている。 研究の背景をなす実績には現在印刷中の2つの論文がある。1つは「乳幼児の愛着と親支援」(精神神経学会誌),「母子支援におけるアタッチメントの重要性」(子どもの虐待とネグレクト)である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
大規模な研究であり、対象地域は神奈川県においていくつかの内定をいただいた。横断研究・縦断研究ともに、神奈川県中央児相、相模原市児童相談所から内定を、横須賀児相から横断研究の内定をいただいた。現在、その他の地区、すなわち福岡、大分、山梨、などにアプローチしているが、この過程が長引いている。
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今後の研究の推進方策 |
上記のアプローチ地域にできるだけ早く内諾を取る。その後、どの地域にも応用する研究方法を作成し、倫理委員会の承認を得る。次に、数名の里親おおび施設職員にEQ暫定版を施行してもらい、フィードバックを得て、暫定版を修正してEQ(ver.1)を完成する。その後夏から初秋にかけて横断調査(ベースライン)を、EQ(ver.1)を含む質問紙セットで施行する。同施行日から1年後に、第1回縦断調査を承諾を得た地域の対象に行う。
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