研究課題/領域番号 |
21H00796
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (20339568)
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研究分担者 |
野田 博也 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (00580721)
角崎 洋平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10706675)
吉中 季子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
佐藤 順子 佛教大学, 専門職キャリアサポートセンター, 講師 (80329995)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 金融排除 / 金融包摂 / 外国人 / 移民 / 母子世帯 |
研究実績の概要 |
(1)国内の外国人労働者・留学生の金融排除の実態:在留外国人への調査を実施した。第3回調査は送金サービスを主なテーマとし、送金の頻度・金額・目的・方法と、送金を巡るトラブルや要改善点を尋ねた。労働者の全てが祖国に仕送りしているわけではないが、低所得者が過剰な仕送りによって生活困窮に陥っている状況が見えた。第4回調査は民間保険をテーマとした。途上国の出身者も保険の必要性や意義を充分理解していたが、言語の壁や短い在留期間、外国人への宣伝不足により、保険加入者は少なかった。過去3回分の調査結果をまとめて、社会政策学会大会で発表した。 困窮者への緊急支援・公的貸付に関しては、全国社会福祉協議会の担当者に概況を尋ねた後、全国の市区町村の社会福祉協議会に調査を行い、コロナ特例貸付における在留外国人の申込や外国人への対応を尋ねた。貸付の対象や運用方法を巡って、市区町村ごとに対応の差がみられた。日本語を話せない外国人が多く意思疎通が難しいといった課題も浮かび上がった。 (2)送り出し国の課題:労働者の送り出し国における金融教育の試行調査に関しては、インドネシアで金融教育を実施した。教材の作成にあたり、来日前の労働者に対して何をどのように教えるのが効果的かを探るため、監理団体や登録支援団体、外国人相談機関、労働者などから情報収集した。独自の教材を作成し、インドネシアにて金融教育の試行を行い、効果を検証した。 (3)外国人母子世帯への支援の課題:前年度のアンケート調査をもとに、母子生活支援施設にて職員と入所者へのインタビュー調査を行った。アンケートとインタビューの調査結果をまとめ、貧困研究会大会で発表するとともに、発表資料をリライトして学会誌に論文投稿した。他方、研究成果の社会還元の一環として、明治大学にて「外国のルーツを持つ母子の支援課題と母子生活支援施設」と題したシンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)国内の外国人労働者・留学生の金融排除の実態:在留外国人労働者・留学生に対する調査に関しては、(株)グローバルトラストネットワークス(GTN)に委託し、当初の予定通りにアンケート・インタビューを実施することができた。他方、在日ネパール人子弟の通うインターナショナルスクールについては先方との都合が合わずに今年度の調査を断念した。金融サービスを提供する金融機関、自治体、国際交流協会への調査については日程の余裕がつかず、次年度以降に先送りすることとした。 困窮者への緊急支援・公的貸付に関しては、前年度から先送りした生活福祉資金のコロナ特例貸付について、予定通りに調査を行うことができた。 (2)送り出し国の課題:労働者の送り出し国における金融教育の試行調査に関しては、教材作成のための日本国内での情報収集を当初予定していなかったが、急遽実施することとなった。インドネシアでの金融教育の試行にあたっては、限られた予算の中で講師や研修参加者の確保が厳しかったが、実施することができた。 (3)外国人母子世帯への支援の課題:前年度から先送りした母子生活支援施設へのインタビュー調査について、予定通りに調査を行うことができた。また、前年度から翻訳作業を進めていた、フランスの家庭経済ソーシャルワーカーに関する図書を明石書店から刊行することができた。他方、今年度に入ってコロナによる出入国制限は解除されたものの、フランスへの出張による視察を予定していたが、訪問予定の団体が延期を要請してきたため、出張を次年度に先送りすることとした。
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今後の研究の推進方策 |
(1)国内の外国人労働者・留学生の金融排除の実態:外国人労働者・留学生に対する調査に関しては、次年度も引き続き(株)グローバルトラストネットワークス(GTN)に委託し、2回のアンケート・インタビュー調査を行う。また、調査結果を学会大会などで発表するほか、学会誌に論文を投稿する。 困窮者への緊急支援・公的貸付に関しては、生活福祉資金のコロナ特例貸付の償還状況について、実施主体である都道府県社会福祉協議会に調査を行うとともに、調査結果から得られた知見をまとめて学会発表を行い、学会誌に論文を投稿する。 コロナ特例貸付を例外として、永住者・定住者以外の外国人(個人消費者)は貸付を受けることは一般的に困難であることから、外国人への生活相談・貸付事業の事例を調べるとともに、外国人側の借り入れ需要を探る。 (2)送り出し国の課題:(株)かいはつマネジメント・コンサルティング(KMC)に委託した金融教育の実態調査と試行調査は今年度で完了したが、次年度はこの調査結果をとりまとめて、日本消費者教育学会大会などで発表するほか、学会誌に論文を投稿する。 (3)外国人母子世帯への支援の課題:今年度までの調査結果を踏まえ、母子生活支援施設職員を対象とする家計・金融教育の教材作成と4回連続講座の開催を行う。本研究は外国人母子世帯に関心の焦点を置いているが、母子生活支援施設においては職員に対する家計・金融教育そのものがほとんど行われていないという現状を踏まえ、まずは日本人・外国人を問わず一般的な家計・金融教育の内容を扱い、その中に外国人母子特有の内容も含ませる方針とした。4回連続講座の終了後、それらを振り返るシンポジウムも開催する。他方、前年度から先送りとなったフランスの視察調査を実施する予定である。フランスの視察調査のため、多文化ソーシャルワークの専門家である南野奈津子氏を次年度から研究分担者に加えることとした。
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