研究課題/領域番号 |
21H00812
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
望月 寛子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (60450318)
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研究分担者 |
早川 文代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, グループ長補佐 (00282905)
山田 一夫 筑波大学, 人間系, 教授 (30282312)
河合 崇行 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (50425550)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 味覚 / 日内変動 / ストレス |
研究実績の概要 |
本研究は、ヒトの味覚における日内変動および週内変動を明らかにする。次に、味覚感覚の変動要因として、心理的ストレスや身体的疲労の影響を検討するため、自律神経系の状態と味覚感度との関係を網羅的に調べ、ヒトの味覚に関する基礎的知見の蓄積を目的としている。 今年度は、ヒト試験系を立ち上げ、データ取得を開始した。具体的には、味覚の閾値と濃度および味覚弁別能に関する試験手法を確立した。使用する味覚刺激は、グラニュー糖、食塩、クエン酸、カフェイン、L-グルタミン酸ナトリウムを用いて5段階の濃度を設け、それぞれ、甘味・塩味・酸味・苦味・旨味に対する試料液とした。閾値検査では、試料液を低濃度順に提示し、何の味であるか回答を求めた。あと味検査では、濃度の濃い溶液を口に含み、吐き出した後のあと味の変化を回答するよう求めた(TI法)。試料溶液の提示には前口腔法を用いた。ISOの規格に則って選抜したパネリストを対象に上記の味覚閾値とあと味に関する試験を行った。実施日は金曜日、時間は朝(8:00)、昼(12:00)、夕(19:00)とした。パネリストには、味覚テストと同時に気分、睡眠、疲労度に関する質問紙調査を行い、体調の変化と味覚感度の変化を検証したところ、睡眠の質の低下が味覚感度に影響を与える可能性が示唆されている。動物試験系では、味覚試料溶液への選好性を測る方法としてリッキング測定装置の導入を決め、制作を始めた。さらに、使用する試料溶液の濃度を決定するため、溶液提示の予備実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、新型コロナ感染症の感染拡大により研究所でのヒト試験実施が難しくなった。そこで、パネリストが在宅で試験を行えるよう、環境の整備(簡易ブースの貸与、試料の送付など)、指導(室温温管、衛生管理の)、評価法を教示する動画の配布などを行った。在宅評価法を取り入れたことにより、コロナ禍であってもおおむね順調に研究を進めることができた。なお、本研究では知財の取得を視野に入れているため、必要な準備が整うまで、関連するデータの公表(学会発表、論文公表)は意図的に控えている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト試験では、2021年度に開発した試験系を用いて試験を繰り返し、25名以上のデータ蓄積を目指す。並行して、2022年度中に「食味評価の標準化および予測プログラム」に関する特許出願を行い、迅速に成果を社会に還元できる下地づくりを進める。動物試験では、リッキング測定装置を用いて、ラットの味覚における概日リズムを計測する。動物実験を共同研究先(筑波大学)で行うことにより、ヒトと動物の試験を効率的に進める。
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