研究課題/領域番号 |
21H00836
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
笹岡 幹子 (西村幹子) 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20432552)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 初等教育 / ウガンダ / ポジティブ・ディビアンス / RCT / 学校運営 / 情報共有 / 遠隔教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、これまでの国際教育協力の前提となってきた外部からのインプットという発想を超え、現地にある成功例を特定し普及するポジティブ・ディビアンス(PD)研究である。既に東アフリカ地域において特定された成功要因となる取り組みをランダムに選定された学校群に実施し、統制群と比較することにより、その効果を検証する。コロナ禍において外部的介入が阻まれる中、現地にある経験、資源、知恵を用いた介入の有効性を検証するとともに、貧困層の多い東アフリカ農村部においてどのような低コストの介入が効果的であるかを特定することを目的とした。 新型コロナウィルス感染症の世界的蔓延により、ウガンダにおいては2022年1月まで学校が閉鎖されていたため、当初の予定を変更し、ウガンダ東部のブソガ地域において、親、教師、校長とともにラジオ・トークショーとオンラインによるグループサポート・プラットフォームを実験群の50校を対象に展開し、中間評価の結果を分析した。また、学校の再開を受けて、新たに学校レベルで教員たちによる学びの場をつくり、学習改善計画などの策定を学校のイニシアティブによって行った。その成果を測るべく、年度末には150校を対象として終了時評価を実施した。 今年度の研究実績としては、中間評価の結果の分析に集中した結果、2019年と2022年の間に子どもたちの算数および読解(英語および母語)の学力が下がったという傾向が見られた。また、校長、教師、コミュニティを巻き込んだラジオ・トークショーの参加者および視聴者が多い学校コミュニティほど、学校が再開された際に子どもたちの退学を防げていたことが明らかとなった。他方、学校レベルでの遠隔学習の実施や子どもたちの学習成果については、明らかなインパクトは見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請当初の計画では、ウガンダとケニアを対象としていたが、予算減額のため、ウガンダを対象にしてポジティブ・ディビアンス研究を遂行してきた。ウガンダにおいては、信頼できる研究協力者を得て、当初の計画以上に、パンデミックの影響を鑑みた介入策を考案し、現地主導でラジオ・トークショー、SNSによる校長グループのディスカッション、および学校が再開した後には、学校レベルでの活動の実施を促進することができた。さらに、2022年2月には終了時調査を予定通り実施することができ、現在はデータのクリーニングを行い、結果の分析に着手できる段階に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究成果をコミュニティ、学校、行政にフィードバックすべく、データを分析することが前半の目標である。2023年9~11月にかけて、ウガンダの東部対象地域および首都カンパラにおいてステークホルダーへの情報共有ワークショップを開催するため、現地の研究協力者と緊密に連携しながら準備を進める。併せて、学術誌への投稿論文の執筆に務める予定である。
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