研究課題/領域番号 |
21H00839
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
紅林 伸幸 常葉大学, 教育学部, 教授 (40262068)
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研究分担者 |
加藤 隆雄 南山大学, 人文学部, 教授 (20247133)
中村 瑛仁 京都教育大学, 教育学部, 講師 (30756028)
川村 光 関西国際大学, 教育学部, 教授 (50452230)
越智 康詞 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (80242105)
鈴木 和正 常葉大学, 教育学部, 准教授 (80759077)
長谷川 哲也 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (90631854)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 教師の成長 / 教員養成・教師教育モデル / オープンな学習システムモデル / スクール・ブランディング |
研究実績の概要 |
2021-2022年度は、コロナ禍に加えロシア・ウクライナ戦争が勃発したことによって、国内のフィールド系の研究や海外視察調査などが制約され、可能な範囲の研究を模索しながらの研究活動となった。その第一は、教員養成・教師教育と本研究プロジェクトが拠って立つ起業家教育のアイデアの比較検討と新しい教員養成・教師教育モデルの構築に関わる概念形成のための研究であり、「スクール・ブランディング」という観点を構想するに至った。また、起業家教育が必ずしも独自の体系的な理論モデルを持っているわけではないことや起業家としての成長という観点が存在しないことを確認し、起業家教育が閉じたシステムでなく、オープンな学習システムであるという観点を得ることができた。 オープンな学習システムモデルでは、学習内容よりもむしろ学習のプロセスやメカニズムに焦点を当てる必要があることから、先に実施した研究プロジェクト「道徳の教科化と教育の保守化をめぐる学校現場の政策受容過程に関する総合的研究」(課題番号16H03788)において蓄積した教育実践に関わる諸データの再検討や、教師の教育構想を展開するプロセス及び実践に関わる教育研究活動に協働的に参画することによって、教師の成長に関わる教師の実践構築力の観察を行った。これらの研究では、自律的な実践と自律的な成長とが絡み合って一体的に展開していくという仮説を構築するに至った。 2021年度の海外視察調査については、ポーランドを対象国として準備を進めたが、コロナ禍に加えてロシア・ウクライナ戦争が始まったことを受けて2021年3月の実施を延期し、2022年の状況に基づいて実施するという実施計画に変更した。ポーランド視察は2022年度の実施も更に延期し、危険度低いベルギー視察の準備を開始したが、状況が改善されなかったため、2022年度は海外視察自体を中止した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍に加えて、ロシアによるウクライナ侵攻が勃発したため、当初計画において2021-2022年度の研究の中心に位置づけていた海外視察調査の中止を余儀なくされた。また、この間に本研究の主要観点となる起業家教育と教員養成・教師教育を接合するアイデアを学んだFritz Ozer教授が亡くなられてしまったため、Ozer教授にアイデアをご教授いただく機会を逸ししてしまった。このことは本研究において極めて大きな損失であり、研究計画を大きく修正し、本研究プロジェクトにおいて独自に概念構築を進める必要が生じた。2021-2022年度の研究を進める中で、そのために行うべきアプローチ方法についていくつかの方向性を明確にすることができたので、来年度以降の計画については明るい見通しを持っているが、現時点では当初計画よりも研究の進度が遅れていることは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
2021-2022年度は、コロナ禍とロシア・ウクライナ戦争により、当初計画通りに研究 を遂行することはできなかった、しかし、この間に、研究計画を実施可能な形に具体化する作業に取り組むことができたため、2023年度以降は教育実践の自律的な構築と自律的な成長を連動させた教員養成・教師教育モデルの構築を目標として、予定通り歴史的研究、協働的な実践研究、海外視察調査の3つの研究により総合的にアプローチしていく予定である。なお、この研究方針は、2022年度実績報告と一致するものであるため、以下には2022年度報告における【今後の研究の推進方策】を転載する。 教師の自律的創造的な実践構築力が、我が国の高い教育効果を支えてきた我が国の教育の特徴であり、財産であることを、歴史的観点と実践的観点から明らかにしていく作業と、自律的創造的な実践構築力が制約される状況が生まれつつある現状の理解、また自律的創造的な実践構築力が一層必要性が高まっている現代社会への理解を進めていくという作業を更に進めていく。特に、教師の自律的創造的な実践構築力については、教師の教育研究力という観点が重要であることが明らかになってきているので、この点について更に詳細に多面的にアプローチしていきたいと考えている。現時点では、教育研究力が教員資質としてどのように位置づけられ、重視されているのかについて教員養成・教師教育施策と教育実践・教育実践研究の分析作業によって、この課題に取り組んでいきたいと考えている。また、本研究の主要な観点の一つである起業家資質との比較に関わって、起業における「研究」についても考えたい。なお、研究を開始してから現在に至る2年間は、研究活動を進める中で、研究の主要な観点を具体化する作業を行ってきたが、研究の中間点となる令和5年度は現時点での研究成果を中間報告していくことにも取り組んでいく。
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