研究課題/領域番号 |
21H00874
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮本 友弘 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (90280552)
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研究分担者 |
平山 祐一郎 東京家政大学, 家政学部, 教授 (10299894)
佐藤 純 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (20327266)
銀島 文 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター基礎研究部, 総合研究官 (30293327)
西郡 大 佐賀大学, アドミッションセンター, 教授 (30542328)
服部 環 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70198761)
久保 沙織 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (70631943)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | メタ認知 / 主体的に学習に取り組む態度 / 高校生 / 標準検査 / CBT / 項目反応理論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高校教員の「主体的に学習に取り組む態度(主体性)」の評価を支援するために、CBT(computer based testing)による高校生向けのメタ認知標準検査を開発することである。具体的には、「① 標準検査の開発」、「② 項目反応理論(item response theory:IRT)に基づく項目プールの構築」、「③ CBTシステムの開発」の3つの課題を通して達成される。それぞれに対応した3つの班(標準検査開発班、統計分析班、システム開発班)を組織し、各課題に取り組んでいる。 「①標準検査の開発」については、国内外のメタ認知に関する先行研究を収集・検討した。また、国内で定評のあるメタ認知に関する項目を用いて質問紙調査を実施し、信頼性と妥当性の高さ、及び課題を明らかにした。これらを踏まえて、新たな項目を作成するための枠組みと項目の仕様を策定した。 「②IRTに基づく項目プールの構築」については、次年度の標準化のための予備調査で使用する重複テスト分冊法のデザインを策定した。また、予算面からIRTに基づく検査の実施方法の見直しが余儀なくされた。本研究が目指すメタ認知のくり返しの測定が可能であることから、当初予定のアダプティブ方式(1問ごとに受検者の能力を推定しながら実施)からリニア方式(統計的品質のそろった検査問題セットをあらかじめ複数作成して実施)に変更することとした。 「③CBTシステムの開発」については、国内外の先行研究を参考にしてCBTシステムの仕様を策定し、それに基づきプロトタイプの開発を行った。 以上に加えて、本研究の成果を常時かつ即時に公開し、また、調査の補助的ツールとして使用するために、ホームページを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度であるため、研究の土台づくりに時間と労力をかけたこと、また、予算的な制約から研究計画の一部を変更したことにより、「やや遅れている」と評価した。 具体的には、まず、3つの課題のうち、「①標準検査の開発」においては、新たな項目を作成するための枠組みと項目の仕様を策定するのに、多くの時間と労力を要した。項目作成の基盤となることから、「メタ認知」の概念規定から質問や回答の仕方まで慎重な検討を行わざるを得なかったためである。その結果、当初予定していた項目作成が次年度に持ち越されることになった。 「②IRTに基づく項目プールの構築」においては、検査の実施方法として、当初はアダプティブ方式を目指して取り組み、複数の専門家、専門業者に聞き取り調査を行ったが、予算面から断念せざるを得なかった。その決定と代替案(リニア方式)の策定に多くの時間を要し、予定していたIRTモデルの策定が次年度に持ち越されることになった。 「③CBTシステムの開発」についても、検査の実施方法をアダプティブ方式からリニア方式に変更したことに伴い、仕様を見直さざるを得なかった。プロトタイプとしてベース部分を開発するには至ったが、実装すべき機能の開発と、ユーザビリティの評価調査の策定が次年度に持ち越されることになった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の作業の遅れを取り戻すこと、また、IRTに基づく検査の実施方法の変更に対応することを軸に、各課題における優先事項とタイムスケジュールを明確にすることで研究を推進する。 「①標準検査の開発」においては、数百個程度のメタ認知の測定項目を作成することが先決である。本研究のもっとも核となる部分でもある。次年度前半は、担当の標準検査班による作業を急ピッチで進める。本年度、項目作成のための枠組みと項目の仕様を定めたことから効率的な作業が期待できる。その際、必要に応じてパイロット調査を実施する。そこで収集されたデータに基づいて測定項目を精選する。これにより、予定されている標準化のための予備調査の準備と実施が促進される。 「②IRTに基づく項目プールの構築」においては、リニア方式を実現するために、CBTシステムに実装する検査項目の仕様を策定することが最優先となる。次年度前半、担当の統計分析班は、集中的にこの作業に従事する。また、後半は、標準化のための予備調査で得られたデータの分析を精力的に進める。 「③CBTシステムの開発」においては、リニア方式を実現するために必要な機能(検査問題セットの選択的提示、操作インターフェース、回答データの保存形式、分析結果の表示、ユーザーの管理など)の仕様を確定することが急務である。相当の時間を要する作業であるため、担当のシステム開発班は、1年間をかけてこの作業に取り組む。適宜、統計分析班と連携を取りながら推進する。
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