研究課題
頭足類:アオリイカに同種のアニメーションを提示し、体色や個体数、前後の動きなどがアオリイカ本来のアニメーションに近い距離で定位したことから、アオリイカの形や動きが同種を惹きつける可能性を見出した。また、捕食者のアニメーションに対して、アオリイカの墨吐きや移動量に個体差があること、それが性格に呼応することを見出した。霊長類:マーモセットを対象に、対面するマーモセットのどこを注視しているか、頭上から撮影した映像に対してDeepLabCutを用いることで、額と両耳の位置の関係から推定する手法を開発した。動画ごとにわずか150フレームで正確に追従できることが示された。このことにより、動物にマーカーをつけなくても、どこを注視しているかを調べられることがあきらかとなった。今後、動物のVR画像へも応用可能だと考えられる。鳥類:群れの社会構造の維持メカニズムを調べるために、飼育下のカラスの群れ2群を対象に,群れの成員除去実験を行い、群れの順位構造および個体の社会行動への影響を検証した。1位個体を24時間除去すると、順位構造は維持されたまま、2位個体が上位特異的な攻撃音声を発するようになった。下位個体の除去は順位構造も社会行動にも影響しなかった。この結果は、1位の音声によって2位個体の攻撃が抑制され、順位が維持されている可能性を示唆する。遺伝子解析:本年度は、ネコの質問紙による性格評定と、オキシトシン受容体やアンドロゲン受容体などの遺伝子型の関連解析を行い、活動性や発声と遺伝子型の関連を見いだした。マーモセット、アカゲザル、カニクイザルについて、ミエリンの形成と維持に関わるスフィンゴ脂質代謝遺伝子の多型と性格や行動の関連を解析した。アジアとガーナの在来犬やオオカミを対象に、全ゲノムシークエンスを行って、データベースに登録されている各地の在来犬と、性格に関連するゲノム領域を比較した。
1: 当初の計画以上に進展している
ヴァーチャル・リアリティを活用して社会性に関わる事柄を検証できたことに加え、霊長類の行動追跡の新たな手法を確立し、オキシトシン受容体に加えアンドロゲン受容体などの遺伝子型の解析から行動との関連を明らかにするなど、今後の研究展開につながる大きな成果が得られたため。
本研究の中心的な手法であるヴァーチャル・リアリティを用い、社会性の形成と性格に関わる事柄を具体的に検証できた。また、行動に関わる遺伝子についての調査を進めることもできた。今後はこれらを踏まえ、頭足類を中心に個体の性格と社会性との関係の検証を進めるとともに、性格に関わるホルモン受容体遺伝子とその多型の解析を進めていく。研究の進捗について、代表者と分担者で積極的に相互確認し、意見交換を行ない、改良すべき点が見つかれば適宜改変を加え、的確なデータの取得に努めるようにする。
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http://w3.u-ryukyu.ac.jp/ceph_lab/index.html