研究実績の概要 |
昨年は重心計とモーションキャプチャー装置を購入し,その測定精度や利用範囲を調べるとともに,傾斜床面への順応とそれに伴う身体各部の位置の変化に関する測定を行った.実験は,環境傾斜装置の中にある水平床面に被験者を90秒間たたせ,その間に身体各部(頭部,胴部,臀部,大腿部,足首)の位置をx, y, z座標を用いて測定し(ベース期),引き続いて+10度あるいは-10度に傾けられた床面の上に被験者を90秒間たたせ(順応期),その後,床面を再び水平にし,そのときの被験者の身体各部の位置を90秒間にわたって測定した(残効期).ベース期と残効期の間に,身体の位置の変化があったとき,それを順応量とする.具体的には,被験者はつぎの7段階に従った.すなわち,①直立した部屋の中に90秒間たつ,②+10度に傾斜させた部屋の中に90秒間たつ,③直立した部屋の中に90秒間たつ,④休憩,⑤直立した部屋の中に90秒間たつ,⑥-10度に傾斜させた部屋の中に90秒間たつ,⑦直立した部屋の中に90秒間たつ.被験者の課題は床面に立つことのみであり,その間に実験者は被験者の重心をはじめ身体各部の座標値の変化を刻々と計測していった.用いた被験者は10人.現在,各被験者から得られたデータを整理している.身体各部間の関係を明らかにすることによって,順応の影響を受けやすい部位を明らかにする予定. 身体的順応に関して,以前から収集してきたデータをもとに,昨年の春に論文を投稿し,現在なお改訂作業を行っている.
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